鹿児島大学でのハイパーサーミアの歴史と現況

当院には1988年にThermox500(オムロン社製)が2000年にThermotron RF8(山本ビニター製)が導入された. 症例数は年間50~60名程度, 総加温回数は400回程度で, ほぼ週8回程度行っている. 時間に余裕があった頃は比較的測温の行いやすい頭頸部の腫瘍や婦人科系の腫瘍を対象とし, 皮下脂肪が厚くRF誘電型加温が難しそうな症例でも, 色々工夫して加温していたが, 最近は放射線治療の業務が年々多忙になり, ハイパーサーミアに割ける時間が減少し, 限られた時間で行うために, 加温が十分行えそうな(皮下脂肪が少ない)症例を主体に行っており, 測温も不十分な事が多い. ハイパー...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 21; no. 3; pp. 177 - 178
Main Author 平木嘉幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 01.09.2005
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ISSN0911-2529

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Summary:当院には1988年にThermox500(オムロン社製)が2000年にThermotron RF8(山本ビニター製)が導入された. 症例数は年間50~60名程度, 総加温回数は400回程度で, ほぼ週8回程度行っている. 時間に余裕があった頃は比較的測温の行いやすい頭頸部の腫瘍や婦人科系の腫瘍を対象とし, 皮下脂肪が厚くRF誘電型加温が難しそうな症例でも, 色々工夫して加温していたが, 最近は放射線治療の業務が年々多忙になり, ハイパーサーミアに割ける時間が減少し, 限られた時間で行うために, 加温が十分行えそうな(皮下脂肪が少ない)症例を主体に行っており, 測温も不十分な事が多い. ハイパーサーミアの抗腫瘍効果の一番の指標として当院でも以前から, thermaldoseを考えていたが, 最近Duke大学からでたpaper(J Clin Oncol. 2005 May 1;23(13):3079-85)で, 試験的に加温を行い, thermaldoseが0.5を超える症例だけを先ず選んで, その症例群を2群に振り分け無作為比較試験を行い, 局所制御率では温熱併用群が優れていたという結果を報告している. 43度以下でも放射線増感効果や, 免疫能の増強に効果があるという報告もあるが, いずれにしても, 単に『温熱療法をやった』というだけでなく, きちんとした腫瘍内温度のパラメーターが伴ってはじめて, ハイパーサーミアの学問的裏付けが得られる. 『測温と加温』このキーワードが今後のハイパーサーミアの発展には不可欠である.
ISSN:0911-2529