結核病棟におけるCOVID-19のアウトブレイク報告

「要旨」 : 〔目的〕結核病棟では, 医療従事者の全員がN95マスクを着用しており, SARS-CoV-2の感染経路が一定割合で制御されている可能性がある. 結核病棟において発生したCOVID-19アウトブレイクについて報告する. 〔対象と方法〕対象は, COVID-19アウトブレイク期間中にSARS-CoV-2抗原が陽性となった国立病院機構近畿中央呼吸器センターの結核病棟の入院患者およびこれに関連した全医療従事者である. 当該期間のGanttチャートおよび流行曲線を作成し, アウトブレイクを後ろ向きに記述した. 〔結果〕SARS-CoV-2陽性と確認されたのは16例 (結核患者9例, 看護師...

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Published in結核 Vol. 98; no. 3; pp. 79 - 84
Main Authors 倉原優, 木村仁, 大槻登季子, 嶋谷泰明, 篠原莉奈, 雲依美里, 藤原綾子, 露口一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.05.2023
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 〔目的〕結核病棟では, 医療従事者の全員がN95マスクを着用しており, SARS-CoV-2の感染経路が一定割合で制御されている可能性がある. 結核病棟において発生したCOVID-19アウトブレイクについて報告する. 〔対象と方法〕対象は, COVID-19アウトブレイク期間中にSARS-CoV-2抗原が陽性となった国立病院機構近畿中央呼吸器センターの結核病棟の入院患者およびこれに関連した全医療従事者である. 当該期間のGanttチャートおよび流行曲線を作成し, アウトブレイクを後ろ向きに記述した. 〔結果〕SARS-CoV-2陽性と確認されたのは16例 (結核患者9例, 看護師4例, 学生3例) であった. 16例中14例 (87.5%) がCOVID-19ワクチンを少なくとも1回接種していた. ほとんどの症例は軽症であり, 本アウトブレイクに関して死亡例はなかった. 〔結論〕全医療従事者がN95マスクを着用しており, 結核病棟内におけるSARS-CoV-2の伝播は接触感染が主体と考えられる. 院内のアウトブレイクのリスクを低減するうえで, 空気感染・エアロゾル感染以外の接触感染の重要性を過小評価してはならないと考える.
ISSN:0022-9776