潰瘍形成を伴った類上皮肉腫の1例

症例は70歳, 女性. 約5年前より右第3指に皮疹が出現し, 徐々に増大した. 抗生物質の内服と外用で加療されていたが消退せず, 1年前より表面が潰瘍化した. 2ヵ月前に周辺に皮下結節が出現したため, 近医で生検を施行され, 血管肉腫を疑われ当科へ紹介された. 初診時, 右3指基部に大きさ2. 5×2cm, 境界不明瞭な暗赤色局面を認め, 下に弾性硬の硬結を触知した. 表面に潰瘍を形成し, 1部に痂皮を付着していた. 皮膚生検の結果, 類上皮肉腫と診断. MRIで腫瘍は皮下に広範囲に及んでいたため, 当院整形外科にて, 右2, 3指切断術を施行した. 現在術後11ヵ月を経過しているが, 再発お...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 604
Main Authors 新見やよい, 青木見佳子, 川名誠司, 北川泰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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Summary:症例は70歳, 女性. 約5年前より右第3指に皮疹が出現し, 徐々に増大した. 抗生物質の内服と外用で加療されていたが消退せず, 1年前より表面が潰瘍化した. 2ヵ月前に周辺に皮下結節が出現したため, 近医で生検を施行され, 血管肉腫を疑われ当科へ紹介された. 初診時, 右3指基部に大きさ2. 5×2cm, 境界不明瞭な暗赤色局面を認め, 下に弾性硬の硬結を触知した. 表面に潰瘍を形成し, 1部に痂皮を付着していた. 皮膚生検の結果, 類上皮肉腫と診断. MRIで腫瘍は皮下に広範囲に及んでいたため, 当院整形外科にて, 右2, 3指切断術を施行した. 現在術後11ヵ月を経過しているが, 再発および転移はない. 類上皮肉腫は比較的まれな軟部悪性腫瘍であるが, 臨床的, 組織学的診断が難しいことが知られている. 長い経過の間に高率に再発, 転移を生じるので, 早期に診断し, 腫瘍が小さいうちに確実に切除することが重要である.
ISSN:1345-4676