大腿骨に浸潤した軟部肉腫に対する罹患処骨とハックステップ髄内釘による再建

「はじめに」軟部内腫が周囲骨に浸潤した場合, 手術では, その部の骨も同時に切除するため, 腫瘍切除後には悪性腫瘍と同様の再建術が必要である1-8). 軟部肉腫では, 軟部組織を広範に切除する必要があり, 手術侵襲は骨原発悪性腫瘍よりも高度となることが多い. さらに, 軟部肉腫は骨原発悪性腫瘍に比べて高齢者に発生する傾向があり, quality of lifeを少しでもより良いものにするためには, 広汎切除後にどの様な再建を行うか重要な問題である. しかし, 周囲骨に浸潤した軟部肉腫では, 患肢温存手術可能な症例は少なく, この様な症例の検討は十分にされていない. 我々は, 大腿骨を合併切除し...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 559 - 563
Main Authors 麻生英一郎, 田口勝規, 三原圭司, 橋口隆, 安達耕一, 平野徹, 吉田伍一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」軟部内腫が周囲骨に浸潤した場合, 手術では, その部の骨も同時に切除するため, 腫瘍切除後には悪性腫瘍と同様の再建術が必要である1-8). 軟部肉腫では, 軟部組織を広範に切除する必要があり, 手術侵襲は骨原発悪性腫瘍よりも高度となることが多い. さらに, 軟部肉腫は骨原発悪性腫瘍に比べて高齢者に発生する傾向があり, quality of lifeを少しでもより良いものにするためには, 広汎切除後にどの様な再建を行うか重要な問題である. しかし, 周囲骨に浸潤した軟部肉腫では, 患肢温存手術可能な症例は少なく, この様な症例の検討は十分にされていない. 我々は, 大腿骨を合併切除した軟部肉腫の患肢温存治療で罹患処理骨とハックステップ髄内釘による再建を2症例に行った. 今回, この再建法の有用性を臨床的に検討した. 症例1:65歳, 女性. 主訴:右大腿外側部痛と腫瘤触知. 現病歴:平成6年5月頃, 右大腿部痛が出現した. 以後, 次第に疼痛増強し, 同年8月には大腿外側部の腫脹も増大したため, 平成6年11月当科外来を受診した. 以下に示す理学的および画像診断にて, 軟部内腫が疑われ当科入院した. 既往歴:特記事項なし.
ISSN:0037-1033