献血者におけるHBsAg陰性化症例のPCR法による検討

献血歴のある献血者でHBs抗原が陰性化した症例について, HBV DNAをPCR法により検討し, 併せてHBc抗体検査の有用性について検討した. 【対象】1)HBs抗原が一過性に陽性化し, 今回の献血で陰性となった症例=2例, 2)HBs抗原が低力価であったキャリアーが今回の献血で陰性化した症例=4例 【方法】HBs抗原は, RPHA法(血液センター製), EIA法(ダイナボット社製), HBc抗体はHI法(血液センター製), EIA法(ダイナボット社製), HBs抗体はPHA法(血液センター製)で実施, PCR法は検体300μlを用いて2重PCR法で実施した. 【結果】HBs抗原が一過性に陽...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 196
Main Authors 今村由美子, 望月章寛, 中山みゆき, 井上史子, 満潮美香子, 楠本行彦, 深田謙二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:献血歴のある献血者でHBs抗原が陰性化した症例について, HBV DNAをPCR法により検討し, 併せてHBc抗体検査の有用性について検討した. 【対象】1)HBs抗原が一過性に陽性化し, 今回の献血で陰性となった症例=2例, 2)HBs抗原が低力価であったキャリアーが今回の献血で陰性化した症例=4例 【方法】HBs抗原は, RPHA法(血液センター製), EIA法(ダイナボット社製), HBc抗体はHI法(血液センター製), EIA法(ダイナボット社製), HBs抗体はPHA法(血液センター製)で実施, PCR法は検体300μlを用いて2重PCR法で実施した. 【結果】HBs抗原が一過性に陽性化した症例は共に, ALT高値, e抗原陽性, IgM性HBc抗体陽性であったが, 今回の献血でHBs抗原はRPHA, EIA法陰性, HBc抗体のみ陽性, e抗体陽性であった. PCR法は1例陽性(HBs抗原陽性から陰性までの献血間隔, 約6ヵ月)他の1例は陰性であった. (同じく約9ヵ月) HBs抗原が低力価陽性であったキャリアー4例は, 今回の献血でHBs抗原はRPHA, EIA法陰性, 全例HBc抗体のみ陽性, e抗体陽性であった. PCR法は2例が陽性で, HBs抗原陽性から陰性までの献血間隔はそれぞれ1年, および3年11ヵ月であった. 残りの2例はPCR法陰性で, 同じく献血期間は6年と4年8ヵ月であった. HBs抗体は6例, 陰性もしくは血液センター判定基準以下であった. 【まとめ】HBs抗原が陰性化した症例についてはEIA法が陰性であっても, PCR法陽性の症例があり, 又陰性化後の献血が最近であるほどその感染の危険性が高いことが示唆された. 今回の症例は全例, HBc抗体検査で輸血用血液から排除されており, HBc抗体検査の有用性が確認されたが, ウィルスの残存期間とHBc抗体の抗体価については十分な追跡検討が必要であると思われる.
ISSN:0546-1448