伸筋腱が整復障害因子となった橈骨遠位骨端離開の一例

「はじめに」軟部組織が整復障害因子となった前腕端部の骨折, 骨端離開は, 数例の報告がみられるのみである. 今回我々は, 総指伸筋腱が整復障害因子となった橈骨遠位骨端離開の症例を経験したので報告する. 症例 症例:12歳男性 主訴:両手関節痛および変形 現病歴:自転車走行中に転倒し受傷した. 詳細な受傷肢位は不明であった. 直後に近医受診し徒手整復施行され, 左側は整復可能であったが整復位保持困難であり, 右側は徒手整復困難なため同日当院を紹介された. 初診時現症:右手関節周辺は著明に腫脹し, 背側凸の変形を認めた. 手指の運動に伴う手関節周辺の疼痛を認めた. 神経症状は認めなかった. 初診時...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 2; pp. 605 - 607
Main Authors 石田漂太, 安藤則行, 吉田健治, 山田康人, 副島崇, 井上明生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2000
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Summary:「はじめに」軟部組織が整復障害因子となった前腕端部の骨折, 骨端離開は, 数例の報告がみられるのみである. 今回我々は, 総指伸筋腱が整復障害因子となった橈骨遠位骨端離開の症例を経験したので報告する. 症例 症例:12歳男性 主訴:両手関節痛および変形 現病歴:自転車走行中に転倒し受傷した. 詳細な受傷肢位は不明であった. 直後に近医受診し徒手整復施行され, 左側は整復可能であったが整復位保持困難であり, 右側は徒手整復困難なため同日当院を紹介された. 初診時現症:右手関節周辺は著明に腫脹し, 背側凸の変形を認めた. 手指の運動に伴う手関節周辺の疼痛を認めた. 神経症状は認めなかった. 初診時X線所見:掌側に転位したSalter-Harris II型の橈骨遠位骨端離開と尺骨遠位端骨折を認めた(図1). 直ちに徒手整復を試みたが, 整復不能であったため中手骨より鋼線牽引を施行した. 整復位が得られなかったため, 受傷2日後に観血的整復術を施行した. 右手関節橈背側に皮切を加えると, 皮下組織の直下に骨折部が展開され, 本来, 皮切部直下に存在するべき総指伸筋腱が認められず, 骨折部の近位で橈掌側に転位した同筋腱を確認した.
ISSN:0037-1033