ESDを施行した隆起型直腸粘膜脱症候群 (MPS) の1例

「はじめに」直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome; MPS)は, 排便時の過度のいきみが原因で直腸が粘膜脱を起こすことにより生じる機能性疾患であり, いきみに伴う恥骨直腸筋の奇異性収縮(出口部症候群)も要因の一つといわれる. 血便, 貧血, 粘液排泄, テネスムス, 会陰痛などが主な症状であり, 直腸の粘膜脱による機械的な刺激や虚血性変化が原因で様々な形態の病変を形成する. 代表的には, 直腸粘膜に隆起性変化, 発赤変化, 潰瘍性変化を生じる. 治療は, 排便習慣の是正が原則であるが, 概して奏効率は高くない. 難治例では外科的切除が行われてきたが, 近年, 内...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy(2001年から) Vol. 102; no. 1; pp. 101 - 104
Main Authors 佐藤ももか, 加藤知爾, 関川憲一郎, 手銭悠, 林猛志, 内藤恵里, 匹田祐樹, 古谷建悟, 松井徹, 小林克也, 岸田由起子, 光井洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 23.06.2023
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ISSN1348-9844

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Summary:「はじめに」直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome; MPS)は, 排便時の過度のいきみが原因で直腸が粘膜脱を起こすことにより生じる機能性疾患であり, いきみに伴う恥骨直腸筋の奇異性収縮(出口部症候群)も要因の一つといわれる. 血便, 貧血, 粘液排泄, テネスムス, 会陰痛などが主な症状であり, 直腸の粘膜脱による機械的な刺激や虚血性変化が原因で様々な形態の病変を形成する. 代表的には, 直腸粘膜に隆起性変化, 発赤変化, 潰瘍性変化を生じる. 治療は, 排便習慣の是正が原則であるが, 概して奏効率は高くない. 難治例では外科的切除が行われてきたが, 近年, 内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)の進歩により, MPS症例に対してESDの有効性・安全性の報告が散見されるようになった.
ISSN:1348-9844