ピロリ菌ファージ : 分離から構造決定まで

「はじめに」ピロリ菌 (Helicobacter pylori) は, ヒトの胃に感染する細菌で, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんの原因となる細菌である. 主にピロリ菌感染は, 乳幼児期に成立する. 一部の感染者は小児・青年期に発症するが, 多くの感染者は無症状で感染が持続する. 持続感染により胃の慢性炎症が進行し, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんなどを発生させる. そのため, ピロリ菌の除菌により胃炎が改善すると, 胃がんや胃・十二指腸潰瘍の発症が抑制される. 現在, 胃がんを予防することを目的にピロリ菌検査が実施されており, ピロリ菌検査で陽性の場合, 化学療法による除菌を行う. しかしながら,...

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Published in日本ヘリコバクター学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 68 - 73
Main Authors 内山淳平, 神谷亮佑, 宮崎直幸, 村田和義, 岩崎憲治, 松崎茂展
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ヘリコバクター学会 15.01.2024
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ISSN2187-8005
2187-8005

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Summary:「はじめに」ピロリ菌 (Helicobacter pylori) は, ヒトの胃に感染する細菌で, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんの原因となる細菌である. 主にピロリ菌感染は, 乳幼児期に成立する. 一部の感染者は小児・青年期に発症するが, 多くの感染者は無症状で感染が持続する. 持続感染により胃の慢性炎症が進行し, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんなどを発生させる. そのため, ピロリ菌の除菌により胃炎が改善すると, 胃がんや胃・十二指腸潰瘍の発症が抑制される. 現在, 胃がんを予防することを目的にピロリ菌検査が実施されており, ピロリ菌検査で陽性の場合, 化学療法による除菌を行う. しかしながら, 薬剤耐性ピロリ菌の出現や既存の治療における副作用の問題があり, 化学療法に依存しない新しい治療法の開発が求められている. バクテリオファージ (ファージ) とは, 細菌特異的に感染するウイルスの総称である.
ISSN:2187-8005
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