多発骨転移として紹介となった褐色腫 (brown tumor) の2例

【はじめに】褐色腫は副甲状腺機能亢進症に伴う反応性の溶骨性病変であり稀である. 褐色腫による多発溶骨像を認め, 病的骨折を生じた2例を経験したため報告する. 【症例1】51歳女性. しゃがみ込み動作で右大腿痛が出現した. A病院を受診しX線写真で右大腿骨骨幹部病的骨折と多発溶骨像を認めた. 生検で診断がつかず, 当院を受診した. 高Ca血症とPTH高値を認め, 甲状腺シンチグラムで頚部に集積を認め原発性副甲状腺機能亢進症に伴う褐色腫と診断した. 【症例2】75歳女性. 血液透析を実施している. 誘因なく右大腿痛が出現しB病院を受診し, X線写真で右大腿骨骨幹部病的骨折と多発溶骨像を認めた. 生...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 4; pp. 869 - 872
Main Authors 赤堀圭一, 山家健作, 尾崎まり, 永島英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
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ISSN0037-1033

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Summary:【はじめに】褐色腫は副甲状腺機能亢進症に伴う反応性の溶骨性病変であり稀である. 褐色腫による多発溶骨像を認め, 病的骨折を生じた2例を経験したため報告する. 【症例1】51歳女性. しゃがみ込み動作で右大腿痛が出現した. A病院を受診しX線写真で右大腿骨骨幹部病的骨折と多発溶骨像を認めた. 生検で診断がつかず, 当院を受診した. 高Ca血症とPTH高値を認め, 甲状腺シンチグラムで頚部に集積を認め原発性副甲状腺機能亢進症に伴う褐色腫と診断した. 【症例2】75歳女性. 血液透析を実施している. 誘因なく右大腿痛が出現しB病院を受診し, X線写真で右大腿骨骨幹部病的骨折と多発溶骨像を認めた. 生検で診断がつかず, 当院を受診した. 高Caと高P血症, PTH高値を認め, 腎不全による二次性副甲状腺機能亢進症に伴う褐色腫と診断した. 【考察】褐色腫は多発溶骨像を呈して骨転移や血液疾患と鑑別が必要となり, 診断にはCa値とPTH値の確認が有用であった.
ISSN:0037-1033