多量の恥垢集積により外科的介入を要した1例

抄録:小児において生理的に起こる恥垢の集積に, 積極的な治療介入が行われることは少ない. 我々は成人になっても恥垢の集積が続き, 外科的な介入を要した症例を経験したため報告する. 症例は統合失調症を有する29歳, 男性. 陰茎先端のかゆみを主訴に近医泌尿器科を受診した. 包茎と亀頭部の硬結を指摘され, 陰茎癌の疑いで当科へ紹介となった. 初診時, 包皮の翻転は不可能であり, 包皮口からは黄白色の腫瘤性病変が確認できた. 亀頭部に硬結を触知したが排尿障害はなかった. エコー上血流は確認されずMRIでも悪性腫瘍を疑う所見はなかった. 恥垢の集積による硬結と予想されたが, 外来での恥垢除去は不可能で...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 652 - 655
Main Authors 大塚崇史, 和田里章悟, 佐久間貴文, 市川孝治, 白石裕雅, 窪田理沙, 久住倫宏, 津島知靖, 有地弘充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2022
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録:小児において生理的に起こる恥垢の集積に, 積極的な治療介入が行われることは少ない. 我々は成人になっても恥垢の集積が続き, 外科的な介入を要した症例を経験したため報告する. 症例は統合失調症を有する29歳, 男性. 陰茎先端のかゆみを主訴に近医泌尿器科を受診した. 包茎と亀頭部の硬結を指摘され, 陰茎癌の疑いで当科へ紹介となった. 初診時, 包皮の翻転は不可能であり, 包皮口からは黄白色の腫瘤性病変が確認できた. 亀頭部に硬結を触知したが排尿障害はなかった. エコー上血流は確認されずMRIでも悪性腫瘍を疑う所見はなかった. 恥垢の集積による硬結と予想されたが, 外来での恥垢除去は不可能であったため, 陰茎癌の除外診断も兼ねた包皮切開術を予定した. 包皮に背面切開を加え, 亀頭部を露出させたところ, 全周性に集塊となった多量の恥垢を認めた. 恥垢は容易に脱落し, 亀頭部に悪性腫瘍を疑う所見が無いことを確認した. 術後経過は良好で, 患者本人と父親に陰部の衛生管理を指導し, 術後2日目に退院となった.
ISSN:0029-0726