地域保健におけるデータ解析の考え方

「I. はじめに」最近のニュースの1つに, 糖分の取りすぎが家庭内暴力を招くという話があった. ことの真相は定かでないが, 納得できるようでもあり, おかしな感じもする, 一般に, 生体から記録されるデータや社会現象を促えた種種の数値は, 独立には変化しえず, 相互に複雑な影響を及ぼし合っている. たとえば, 現象AとBの間に相関関係が認められた時, その理由として次の2つが考えられる. まず第1はAが原因でBがその結果であった場合, 第2はAとBが共に第三者Cによって引き起こされた現象であった場合である. 最近の統計学によれば, この2つの場合を容易に区別することができるようになった. さら...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 708 - 709
Main Author 岡田正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 01.10.1990
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ISSN0023-2831

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Summary:「I. はじめに」最近のニュースの1つに, 糖分の取りすぎが家庭内暴力を招くという話があった. ことの真相は定かでないが, 納得できるようでもあり, おかしな感じもする, 一般に, 生体から記録されるデータや社会現象を促えた種種の数値は, 独立には変化しえず, 相互に複雑な影響を及ぼし合っている. たとえば, 現象AとBの間に相関関係が認められた時, その理由として次の2つが考えられる. まず第1はAが原因でBがその結果であった場合, 第2はAとBが共に第三者Cによって引き起こされた現象であった場合である. 最近の統計学によれば, この2つの場合を容易に区別することができるようになった. さらに, データ項目間相互の複雑な絡みを考慮した上で, 因果関係を証明したり, 2群のデータ間の差を証明したり, 将来の動向を予測したりすることができるのである. これらの方法は総称して多変量解析と呼ばれる. 「II. 多変量解析の種類」多変量解折には, 重回帰分析, 線形判別関数, 主成分分析, 因子分析, クラスター分析, 正準相関分析, 数量化理論など多数の方法がある.
ISSN:0023-2831