New Movement Disorder Society criteriaによる多系統萎縮症の診断

「はじめに」多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)の診断基準として, いわゆるGilman分類第2次コンセンサス基準が広く使用されてきた. しかし過去14年間の使用により, 2つの重要な問題点が明らかになった. 第1はMSA類縁疾患との臨床症候の重複があるため, その診断の正確さが低いことである. 第2はMSAを早期に診断する感度に欠けていることである. 特に後者は疾患修飾薬の効果を検証する治療薬開発において極めて重要な問題となる. 本稿ではこれらの問題の克服を目指したMovement Disorder Society(MDS)によるMSA診断基準の全体像と改訂...

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Published in神経治療学 Vol. 40; no. 1; pp. 3 - 6
Main Author 下畑享良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 20.04.2023
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Summary:「はじめに」多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)の診断基準として, いわゆるGilman分類第2次コンセンサス基準が広く使用されてきた. しかし過去14年間の使用により, 2つの重要な問題点が明らかになった. 第1はMSA類縁疾患との臨床症候の重複があるため, その診断の正確さが低いことである. 第2はMSAを早期に診断する感度に欠けていることである. 特に後者は疾患修飾薬の効果を検証する治療薬開発において極めて重要な問題となる. 本稿ではこれらの問題の克服を目指したMovement Disorder Society(MDS)によるMSA診断基準の全体像と改訂のポイントについて概説する. 「I. 診断カテゴリーの全体像」本診断基準の特徴は, 診断の確実性を以下に述べる4つのレベルに分けて定義したことである. またGilman分類第2次コンセンサス基準とは異なり, 診断に必要な所見の定義が, 語彙目録(lexicon)に詳しく記載されているので, 定義を確認しながら問診と診断を進める.
ISSN:0916-8443