顎関節部におけるX線画像の検討 - X線断層像と組織像との関連について

「緒言」顎関節部の病変の診査には, 造影を含めて種々のX線撮影, CT, MRI, 関節鏡などの方法が報告されているが, それらには長所と短所があり, 常に応用されているわけではなく, 多くの場合, X線撮影所見を中心に行われるのが現状である. しかし, 顎関節部は複雑な構造からなり, 頭蓋骨と重なり合うなどの条件から, 単純X線撮影法では読影が困難な場合も多く, 経頭蓋側斜方向撮影法では再現性に問題があるといわれている. このため, 一定の深さの断面を描出する断層X線撮影法は画像の再現性も高いことから, 診断への評価は高い. 一方, これらのX線画像を表現する用語は, 従来から慣用的に使用さ...

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Published in神奈川歯学 Vol. 24; no. 1; pp. 59 - 76
Main Authors 更家誠, 志村介三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.1989
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Summary:「緒言」顎関節部の病変の診査には, 造影を含めて種々のX線撮影, CT, MRI, 関節鏡などの方法が報告されているが, それらには長所と短所があり, 常に応用されているわけではなく, 多くの場合, X線撮影所見を中心に行われるのが現状である. しかし, 顎関節部は複雑な構造からなり, 頭蓋骨と重なり合うなどの条件から, 単純X線撮影法では読影が困難な場合も多く, 経頭蓋側斜方向撮影法では再現性に問題があるといわれている. このため, 一定の深さの断面を描出する断層X線撮影法は画像の再現性も高いことから, 診断への評価は高い. 一方, これらのX線画像を表現する用語は, 従来から慣用的に使用されている傾向があり, 研究者により用語の意味に差違がみられるなどの問題もある. また, X線画像上で読影された異常像が, 同部の組織学的変化をどれほど反映し, 表現しているかという点については, これまでほとんど報告されていない. そのため異常読影所見がただちに病変として診断されてよいかどうか, 臨床的判定に迷う場合も少なくない.
ISSN:0454-8302