同種移植後に併発したthrombotic microangiopathy(TMA)に対し超大量輸血療法を併用することでTMAが治癒した慢性骨髄性白血病症例

造血幹細胞移植後の合併症のひとつとして血管内皮障害を本態とするTMAが注目されている. 我々は, 非血縁者間同種骨髄移植(UBMT)後にTMAによる消化管出血を来した患者に対して, 大量の赤血球および血漿製剤の輸血および血漿交換療法を行った症例を経験したので報告する. [症例]症例は28才, 女性. 慢性骨髄性白血病の1CPに対してUBMTを行った. 前処置はBU+CY+TBIを行い, GVHD予防にCsA+sMTXを投与した. day16に生着し, この前後に皮膚を主体とする1度の急性GVHDを認めたが約2週間で皮痺は消失した. Day60より消化管出血が出現し, day72に消化管穿孔を認...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 2; p. 272
Main Authors 直原徹, 加藤菜穂子, 山口薫子, 小川貴史, 小林直樹, 小笠原正浩, 木山善雄, 比嘉敏夫, 笠井正晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:造血幹細胞移植後の合併症のひとつとして血管内皮障害を本態とするTMAが注目されている. 我々は, 非血縁者間同種骨髄移植(UBMT)後にTMAによる消化管出血を来した患者に対して, 大量の赤血球および血漿製剤の輸血および血漿交換療法を行った症例を経験したので報告する. [症例]症例は28才, 女性. 慢性骨髄性白血病の1CPに対してUBMTを行った. 前処置はBU+CY+TBIを行い, GVHD予防にCsA+sMTXを投与した. day16に生着し, この前後に皮膚を主体とする1度の急性GVHDを認めたが約2週間で皮痺は消失した. Day60より消化管出血が出現し, day72に消化管穿孔を認めたため開腹手術を施行した. 回腸末端に不整形の打ち抜き潰瘍が多発しており, 病理組織診で粘膜下小血管に血栓形成が認められ, また末梢血中に破砕赤血球も認めたためTMAと診断した. その後も消化管出血が持続したため約2ヵ月間に赤血球輸血を約280単位, 血漿輸血を約320単位輸血した. 血漿交換療法も併用したが, 消化管出血が止まらず, 外科的小腸部分切除とストーマ作製を行った. TMA発症時, 免疫抑制剤としてFK-506およびprednisoloneを投与していたが, TMAの診断とともにFK-506は中止した. これらの治療によりTMAの改善をみた症例である. 現在, 外来にて経過観察中である.
ISSN:0546-1448