縦隔リンパ節結核治療終盤に心嚢水貯留を伴う薬剤逆説反応を呈し, ステロイド治療が奏効した1例
「要旨」:30歳女性. 縦隔リンパ節結核に対する抗結核薬治療開始6カ月後に, 縦隔リンパ節腫大の悪化と肺に浸潤影が出現した. その2カ月後に発熱・胸痛とともに心嚢水貯留の出現を認めた. 治療経過や画像所見の特徴から, 薬剤逆説反応と判断し, プレドニゾロン60mg/日(1mg/kg/日)の投与を開始した. 肺浸潤影や心嚢水貯留は1週間で改善傾向を示した. その後, 段階的にステロイドを減量し, 抗結核薬治療を終了した. 症状の再燃はなかった. 薬剤逆説反応による心嚢水貯留の報告はきわめて少なく, 特に治療終盤での発症例は報告がない. 本症例は, 縦隔リンパ節からの炎症波及による免疫反応として説...
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Published in | 結核 Vol. 100; no. 2; pp. 45 - 48 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.03.2025
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「要旨」:30歳女性. 縦隔リンパ節結核に対する抗結核薬治療開始6カ月後に, 縦隔リンパ節腫大の悪化と肺に浸潤影が出現した. その2カ月後に発熱・胸痛とともに心嚢水貯留の出現を認めた. 治療経過や画像所見の特徴から, 薬剤逆説反応と判断し, プレドニゾロン60mg/日(1mg/kg/日)の投与を開始した. 肺浸潤影や心嚢水貯留は1週間で改善傾向を示した. その後, 段階的にステロイドを減量し, 抗結核薬治療を終了した. 症状の再燃はなかった. 薬剤逆説反応による心嚢水貯留の報告はきわめて少なく, 特に治療終盤での発症例は報告がない. 本症例は, 縦隔リンパ節からの炎症波及による免疫反応として説明可能であり, ステロイド治療が著効した. 薬剤逆説反応による心嚢水貯留にはステロイド治療が奏効する可能性がある. |
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ISSN: | 0022-9776 |