左大腿四頭筋腫脹が初発となった筋結核・肺結核の1例

「要旨」: 症例は72歳女性. 2017年9月皮膚筋炎と診断され, ステロイド治療を開始された. 10月に結腸癌と診断され, 11月のPET-CTで左大腿に取り込みを認めた. MRI, CTで左大腿四頭筋の腫脹を認め, 血腫が疑われた. 2018年1月より抗癌剤治療を開始, 2月のCTで肺に結節影が出現し結腸癌肺転移と判断された. 7月末ごろより左大腿背面に皮下腫瘤を自覚するようになり, 9月のCTでは左大腿病変は進展し皮下膿瘍となっていた. 試験穿刺にて結核菌を検出し筋結核・冷膿瘍と診断された. 肺病変は多発空洞化しており, 喀痰検査でも結核菌を検出, 塗抹陽性肺結核と診断された. 当院に転...

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Published in結核 Vol. 95; no. 7; pp. 167 - 173
Main Authors 渡邉彰, 山本哲也, 仙波真由子, 佐藤千賀, 伊東亮治, 阿部聖裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.11.2020
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は72歳女性. 2017年9月皮膚筋炎と診断され, ステロイド治療を開始された. 10月に結腸癌と診断され, 11月のPET-CTで左大腿に取り込みを認めた. MRI, CTで左大腿四頭筋の腫脹を認め, 血腫が疑われた. 2018年1月より抗癌剤治療を開始, 2月のCTで肺に結節影が出現し結腸癌肺転移と判断された. 7月末ごろより左大腿背面に皮下腫瘤を自覚するようになり, 9月のCTでは左大腿病変は進展し皮下膿瘍となっていた. 試験穿刺にて結核菌を検出し筋結核・冷膿瘍と診断された. 肺病変は多発空洞化しており, 喀痰検査でも結核菌を検出, 塗抹陽性肺結核と診断された. 当院に転院後, 抗結核薬内服を開始, 左大腿病変に対しては結腸癌の予後を考慮して保存的治療を選択した. 肺病変は改善傾向となり塗抹陰性を確認し11月に退院したが, 結腸癌の進行により12月に死亡した. 約10カ月にわたり自然経過を追えたきわめてまれな原発性筋結核の症例を経験した. 免疫抑制状態の患者に原因不明の筋病変を認めた場合, 筋結核の可能性も考慮し, 胸部画像検査も含め積極的に検査を考慮する必要がある.
ISSN:0022-9776