低濃度HBs抗体保有HBc抗体陽性血中におけるHBVの確認

<目的>血液センターにおいては, 1989年よりRPHA法では確認できないような, 低濃度のHBs抗原陽性血を検出する目的で, HI法によるHBc抗体スクリーニングを導入した. しかしながら, この方法においてはHBs抗体が確認されれば輪血に適用している. 今回, 低濃度(2^3 以下)のHBs抗体を保有していてもHBc抗体が陽性である血液中には, HBVが存在している可能性がある為, 二重PCR法にてHBVの確認を行った. <対象>検査の対象は中央血液センターにおける献血血液で, そのうちPCR法の対象としてはHBc抗体陽性かつ低濃度(2^3 以下)のHBs抗体陽性と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 421
Main Authors 藤村佳世子, 峰岸清, 平川慎一, 川籏優子, 上田賢弘, 小口隆, 渡部準之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:<目的>血液センターにおいては, 1989年よりRPHA法では確認できないような, 低濃度のHBs抗原陽性血を検出する目的で, HI法によるHBc抗体スクリーニングを導入した. しかしながら, この方法においてはHBs抗体が確認されれば輪血に適用している. 今回, 低濃度(2^3 以下)のHBs抗体を保有していてもHBc抗体が陽性である血液中には, HBVが存在している可能性がある為, 二重PCR法にてHBVの確認を行った. <対象>検査の対象は中央血液センターにおける献血血液で, そのうちPCR法の対象としてはHBc抗体陽性かつ低濃度(2^3 以下)のHBs抗体陽性となった43例を用いた. <方法〉HBVの検査法としてはHBs抗原検査はRPHA法, 及びEIA法, HBc抗体検査はHI法, HBs抗体検査はPHA法にて行った. また, HBVのゲノムの有無は血漿より抽出したDNAを二重PCR法にて確認した. <結果>PCR法の対象とした43例のうち, HBVを確認できたものは9例(20.9%)であった. しかし, いずれもウイルス量は少ないものばかりであった. また, 9例のうちGPT異常を示したものは1例も無かった. <結語>現在, 適用されている低濃度HBs抗体保有のHBc抗体陽性血の中にHBVの存在が確認された. 但し, この血液による感染性の有無については確認が取れていないが, 輪血用血液としての安全性が問われるところである. 尚, より正確な状況を掴み, 一層安全な血液を供給する為, 例数をさらに増加し, 超遠心法による感度の上昇, HBc抗体価とHBVの関係についても検討中である.
ISSN:0546-1448