(Secondary Publication) 膵島分離におけるコラゲナーゼHの作用機序に関する研究

「I. 緒言」 膵島移植は1型糖尿病の有効な治療法として確立されようとしているが, いくつかの課題が残存している. その一つに, 1人の患者の治癒に複数のドナーを必要とすることが挙げられる. ドナー不足の現状を考慮すると, 1つの膵臓から高機能かつ十分量の膵島を安定的に回収する技術の確立は急務である. その鍵を握る因子の一つとして, 膵島分離用酵素剤の至適化が挙げられる. 膵島分離は, 膵島を構造的にも機能的にも障害せずに, 膵臓の細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)を酵素剤により効率よく分解することが必要である. この酵素剤はClostridium hist...

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Published in移植 Vol. 50; no. 2/3; pp. 216 - 228
Main Authors 藤尾淳, 村山和隆, 山形洋平, 渡邉君子, 猪村武弘, 稲垣明子, 大林尚美, 島弘季, 関口悟, 藤盛啓成, 五十嵐和彦, 大内憲明, 里見進, 後藤昌史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本移植学会 07.08.2015
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ISSN0578-7947

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Summary:「I. 緒言」 膵島移植は1型糖尿病の有効な治療法として確立されようとしているが, いくつかの課題が残存している. その一つに, 1人の患者の治癒に複数のドナーを必要とすることが挙げられる. ドナー不足の現状を考慮すると, 1つの膵臓から高機能かつ十分量の膵島を安定的に回収する技術の確立は急務である. その鍵を握る因子の一つとして, 膵島分離用酵素剤の至適化が挙げられる. 膵島分離は, 膵島を構造的にも機能的にも障害せずに, 膵臓の細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)を酵素剤により効率よく分解することが必要である. この酵素剤はClostridium histolyticum由来のコラゲナーゼを主成分とし, 中性プロテアーゼとトリプシン様活性(tryptic-like activity:TLA)を有するいくつかの未知なプロテアーゼによって構成されている. 臨床で使用される酵素剤でも, 一定量のTLAを有している.
ISSN:0578-7947