東京医科歯科大学歯学部附属病院顎顔面外科における過去5年間の顎変形症患者に対する自己血輸血の検討

「緒言」顎変形症の手術は定型手術であるが, 術中に起こりうる重大な偶発症の一つに多量の出血が挙げられる. 実際に, 顎変形症の実態調査においても, 術中の偶発症の第2位は多量の出血となっている. よって, 輸血を事前に準備しておくことは安全な手術を行うために意義がある. さらに, 顎矯正手術は, 多くは全身状態が良好な若年者を対象とした待機的手術である. 以上のことから, 本邦においては顎矯正手術に際し自己血輸血を適用する施設が多い. しかし, 本邦における実態を調査する必要性は言われているにも関わらず, それを行った報告はなかった. 東京医科歯科大学歯学部附属病院顎顔面外科(以下当科と略す)...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 53 - 62
Main Authors 岡村武志, 黒原一人, 佐藤豊, 儀武啓幸, 中久木康一, 細木美佐, 友松伸允, 小杉真智子, 原田清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2014
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」顎変形症の手術は定型手術であるが, 術中に起こりうる重大な偶発症の一つに多量の出血が挙げられる. 実際に, 顎変形症の実態調査においても, 術中の偶発症の第2位は多量の出血となっている. よって, 輸血を事前に準備しておくことは安全な手術を行うために意義がある. さらに, 顎矯正手術は, 多くは全身状態が良好な若年者を対象とした待機的手術である. 以上のことから, 本邦においては顎矯正手術に際し自己血輸血を適用する施設が多い. しかし, 本邦における実態を調査する必要性は言われているにも関わらず, それを行った報告はなかった. 東京医科歯科大学歯学部附属病院顎顔面外科(以下当科と略す)でも, 2006年11月より顎矯正手術に際し, 歯学部附属病院内で貯血した自己血を用いて自己血輸血を行っている. 今回われわれは, 当科にて顎変形症と診断され顎矯正手術を行った症例をレトロスペクティブに調査し, 自己血輸血の有用性を検討した. その結果を踏まえて, 本邦での近年の顎矯正手術における自己血輸血の実態を調査したので報告する.
ISSN:0916-7048