COVID-19対応 脳卒中プロトコル (日本脳卒中学会版Protected Code Stroke : JSS-PCS) 2020年4月
「はじめに」 Time is Brainという言葉に表されるように, これまでの脳卒中診療には「時間との戦い」の中で, 高い「専門性」を発揮することが求められてきた. しかし, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延期(pandemic)に入った現在, 最も懸念すべきことは, 脳卒中疑いで搬送された患者の中に, それまで診断されていなかったウイルス保有者が隠れており, そこから医療従事者に感染が拡大するリスクである. 中国のデータによるとCOVID-19の確定患者の29%は医療従事者であり, 12%は入院患者, つまり41%が院内感染である. したがって, COVID-19 pan...
Saved in:
Published in | 脳卒中 Vol. 42; no. 4; pp. 315 - 343 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳卒中学会
25.07.2020
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 |
Cover
Summary: | 「はじめに」 Time is Brainという言葉に表されるように, これまでの脳卒中診療には「時間との戦い」の中で, 高い「専門性」を発揮することが求められてきた. しかし, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延期(pandemic)に入った現在, 最も懸念すべきことは, 脳卒中疑いで搬送された患者の中に, それまで診断されていなかったウイルス保有者が隠れており, そこから医療従事者に感染が拡大するリスクである. 中国のデータによるとCOVID-19の確定患者の29%は医療従事者であり, 12%は入院患者, つまり41%が院内感染である. したがって, COVID-19 pandemicにおける脳卒中救急診療では, 急ぐよりもまず, 確実な感染防御, すなわち「医療従事者の安全確保」が最優先である. 医療従事者の感染を防ぐことの意味は, 単に医療従事者自身やその家族の健康を守るだけでなく, 濃厚接触者の連鎖から引き起こされる就業制限, さらには病院機能縮小による医療崩壊から本来救われるべき脳卒中患者を守ることにある. |
---|---|
ISSN: | 0912-0726 |