前立腺癌に対する密封小線源療法後に発生した膀胱頸部平滑筋肉腫の1例

抄録:症例は68歳, 男性. 近医にて筋層非浸潤性膀胱癌の診断で経尿道的膀胱腫瘍切除術(Transurethral resection of bladder tumor:TUR-Bt)が施行され, 再発を繰り返しており, TUR-BtおよびBCG膀胱内注入療法を施行されていた. 治療経過中PSA値上昇から限局性前立腺癌の診断あり他医紹介され前立腺癌に対して密封小線源療法を施行された. その後排尿障害を主訴に近医再診, 膀胱鏡にて前立腺部尿道から膀胱頸部にかけての腫瘍性病変を認めたため当院紹介受診となった. 骨盤部造影MRIにて膀胱頸部に強い拡散制限を伴う腫瘍認め, 前立腺部尿道浸潤を疑う所見も...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 647 - 651
Main Authors 東俊之介, 前田喜寛, 山中達郎, 近浦慶太, 鮫島智洋, 銘苅晋吾, 菊川浩明, 狩野武洋, 野尻明弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2022
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録:症例は68歳, 男性. 近医にて筋層非浸潤性膀胱癌の診断で経尿道的膀胱腫瘍切除術(Transurethral resection of bladder tumor:TUR-Bt)が施行され, 再発を繰り返しており, TUR-BtおよびBCG膀胱内注入療法を施行されていた. 治療経過中PSA値上昇から限局性前立腺癌の診断あり他医紹介され前立腺癌に対して密封小線源療法を施行された. その後排尿障害を主訴に近医再診, 膀胱鏡にて前立腺部尿道から膀胱頸部にかけての腫瘍性病変を認めたため当院紹介受診となった. 骨盤部造影MRIにて膀胱頸部に強い拡散制限を伴う腫瘍認め, 前立腺部尿道浸潤を疑う所見も認めた. 造影CTでは膀胱前壁と後壁にも浸潤が疑われた. 有意なリンパ節腫大や遠隔転移所見は認められなかった. 膀胱鏡所見は前立腺尿道部に放射線治療の影響と思われる新生血管を認め, 前立腺部尿道から膀胱頸部にかけ膀胱内に突出する腫瘤性病変が認められた. そのため同部位に対しTUR-Btを施行した. 病理組織所見は, leiomyosarcomaであった. 前立腺癌に対する放射線治療の照射範囲内に発生し, 元々の組織型とは異なる腫瘍のため放射線誘発性腫瘍(二次癌)の可能性を考えた. 明らかな転移所見を認められなかったため膀胱前立腺全摘除術および回腸導管造設術を施行した. 現在, 術後3年経過しているが再発を認めていない.
ISSN:0029-0726