スワーリング検査不適PCに関する検討
【目的】円盤状の形態を有する血小板は, バッグ中で渦巻状に流動するスワーリングといわれる現象を示し, その性質を利用した外観的な検査法は血小板の機能をみるためのひとつの指標として成分採血由来血小板製剤(PC)の調製及び供給時に実施している. また医療機関においてはベッドサイドでのPCの外観チェックにこのスワーリング検査を実施することは有用である. 当センターで実施したスワーリング検査の実施状況(平成7年4月から8年9月)及び検査不適となったPCの性状について報告する. 【方法】スワーリング検査は, 観察者2名が別々にPCバッグを蛍光灯にかざしながらスワーリングの有無を観察し行った. 判定は国際...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 267 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1997
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】円盤状の形態を有する血小板は, バッグ中で渦巻状に流動するスワーリングといわれる現象を示し, その性質を利用した外観的な検査法は血小板の機能をみるためのひとつの指標として成分採血由来血小板製剤(PC)の調製及び供給時に実施している. また医療機関においてはベッドサイドでのPCの外観チェックにこのスワーリング検査を実施することは有用である. 当センターで実施したスワーリング検査の実施状況(平成7年4月から8年9月)及び検査不適となったPCの性状について報告する. 【方法】スワーリング検査は, 観察者2名が別々にPCバッグを蛍光灯にかざしながらスワーリングの有無を観察し行った. 判定は国際輸血学会(ISBT)のワーキングパーティーであるThe Biomedical Excellence for Safer Transfusion(BEST)の基準に準じて行った. 血小板機能は, pH, 凝集能, 変形能, 形態スコアー等を測定した. 【結果】検査不適となったPCは33,406バッグ中24バッグ(発生率0.072%)ドナー数は17人(男性10人, 女性7人)であった. 製剤別では20単位PC, 採取装置別ではCS-3000plusに多く発生していた. ドナーの年齢別の発生率は40歳未満が約0.06%以下, 40歳代が約0.13%, 50歳代が約0.10%であった. また, 不適PCを保存しpHを測定した結果, 至適範囲内に保っているPCと3日目で約6.0まで低下するPCがみられた. pHが維持されていたPCの血小板機能はスワーリング検査陽性のPCに比べ, ADP凝集能に差は見られないがコラーゲン刺激に対しては有意に高い値を示した. 変形能および形態スコアーは低値を示し, スワーリング判定結果と明らかに相関していた. 【考察および結論】スワーリング検査不適PCは頻度が低いながらも発生しており, ドナーの年齢及びドナー間の発生頻度に差があること, 特定の採取装置で発生が多いなど特徴的な点がみられるが, これらの要因が不適PCの発生にどのように関与しているか不明な点が多く, 今後さらに検討が必要と思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |