腫瘍との鑑別を要した回盲部クローン病の1切除例
目的:今回我々は, 虫垂切除術後の回盲部腫瘤を呈し腫瘍性病変との鑑別を要したクローン病の一切除例を経験したので報告する. 対象:症例は28歳, 男性. 平成13年11月に他院にて急性虫垂炎で虫垂切除術を施行. 虫垂の炎症は軽度であったと言われ, 一週間で退院するが退院後1週間イレウスの診断にて再入院. 平成14年11月にも同診断にて再々入院し保存的治療にて軽快し退院するが右下腹部の痛みが持続していたため近医受診. 腹部超音波検査にて回盲部腫瘤を指摘され虫垂切除術後の遺残膿瘍の疑いで当科に紹介となる. 触診上, 右下腹部に創部に一致して約5cm大の腫瘤を触知. 腹部造影CT, MRIにて回盲部か...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 4; p. 377 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
15.08.2003
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 |
Cover
Summary: | 目的:今回我々は, 虫垂切除術後の回盲部腫瘤を呈し腫瘍性病変との鑑別を要したクローン病の一切除例を経験したので報告する. 対象:症例は28歳, 男性. 平成13年11月に他院にて急性虫垂炎で虫垂切除術を施行. 虫垂の炎症は軽度であったと言われ, 一週間で退院するが退院後1週間イレウスの診断にて再入院. 平成14年11月にも同診断にて再々入院し保存的治療にて軽快し退院するが右下腹部の痛みが持続していたため近医受診. 腹部超音波検査にて回盲部腫瘤を指摘され虫垂切除術後の遺残膿瘍の疑いで当科に紹介となる. 触診上, 右下腹部に創部に一致して約5cm大の腫瘤を触知. 腹部造影CT, MRIにて回盲部から上行結腸にかけて造影効果の強い腫瘤を認めた. リンパ腫, 肉腫等も否定できず狭窄症状強く手術を予定した. 術前検査にて注腸造影検査を施行. 回盲部よりの上行結腸に狭窄認められ, 大腸内視鏡検査を追加. その結果, 偽ポリポーシス様の病変が認められ炎症性腸疾患が強く疑われた. 回盲部切除を行い, 手術標本の病理診断にてクローン病と診断された. 考察:今回術前の大腸内視鏡検査は診断に有用であった. 若年成人の回盲部腫瘤はクローン病などの炎症性腸疾患も念頭に置く必要があると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 |