高周波スネアと高周波凝固子の併用で経気管支的に切除した孤立性気管支乳頭腫の一例
孤立性気管支乳頭腫は稀な疾患であり, 我々が検索しえた本邦での報告は41例に過ぎない. 同疾患には悪性化の報告があるため, 診断には腫瘍全体の組織検索が必要であり, かつては外科的切除が標準治療であった. 今回我々は中間気管支幹に発生した腺型の孤立性気管支乳頭腫に対し高周波スネアと高周波凝固子を用いて治療し良好な経過を得たので報告する. 【症例】78歳女性. 血痰精査のため施行された胸部CT検査で中問気管支幹に腫瘤性病変を認め, 気管支鏡検査を施行した. 中間気管支幹の内腔に突出するポリープ状腫瘍を認め, 生検の病理組織では一層の高円柱上皮細胞に被覆された腺管の管状および乳頭状の増殖を認め,...
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Published in | 気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 286 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本呼吸器内視鏡学会
10.05.2004
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ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 孤立性気管支乳頭腫は稀な疾患であり, 我々が検索しえた本邦での報告は41例に過ぎない. 同疾患には悪性化の報告があるため, 診断には腫瘍全体の組織検索が必要であり, かつては外科的切除が標準治療であった. 今回我々は中間気管支幹に発生した腺型の孤立性気管支乳頭腫に対し高周波スネアと高周波凝固子を用いて治療し良好な経過を得たので報告する. 【症例】78歳女性. 血痰精査のため施行された胸部CT検査で中問気管支幹に腫瘤性病変を認め, 気管支鏡検査を施行した. 中間気管支幹の内腔に突出するポリープ状腫瘍を認め, 生検の病理組織では一層の高円柱上皮細胞に被覆された腺管の管状および乳頭状の増殖を認め, 腺型乳頭腫の所見であった. 喉頭及び他気管支には病変を認めず, 孤立性気管支乳頭腫(腺型)と診断した. その後, 咳嗽症状が増悪した為, 確定診断と治療の目的で治療摘除が必要と考え, 気管支鏡下に高周波スネアを用いて茎部を切除し, 高周波凝固子による切断面の焼灼を行った. 腫瘍は容易に切除され出血はほとんど認めなかった. 摘出標本の病理組織も腺型の乳頭腫と診断され悪性所見は認めなかった. 術後, 咳嗽症状は消失し, 切除1ヶ月後の気管支鏡検査では, 切除部は瘢痕を残すのみで腫瘍の残存は認めなかった. 【結論】高周波電流を用いたポリペクトミーは本症に対する診断と治療に有用な手段となりうると考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 |