ラット三叉神経運動核の生後発達にみられるニューロン-グリア細胞構築に関する研究

「緒言」ヒト胎児では胎生4ヵ月にすでに三叉神経-頸神経反射が認められ1), 胎児発生および生後発育におけるヒト三叉神経系のはたす役割は大きい. この三叉神経系は脳神経の中でも最大の支配領域を有し, 体性神経系と自律神経系の境界領域である顎・口腔・顔面領域を支配する鰓弓神経を構成する. したがって, 三叉神経は発生学的には鰓弓神経でありながら体性神経と自律神経の要素を合わせもち, 脳神経の中では独特の線維構成と中枢内伝導路を示す. 一方, 顎運動において咀嚼運動はリズム発生機構を延髄網様体にもち2), 三叉神経運動核のニューロンは顎運動を制御する最終共通経路を形成する. また系統発生学的に原始動...

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Published in神奈川歯学 Vol. 42; no. 2; pp. 109 - 116
Main Authors 高橋浩次, 林弘之, 高橋理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.2007
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」ヒト胎児では胎生4ヵ月にすでに三叉神経-頸神経反射が認められ1), 胎児発生および生後発育におけるヒト三叉神経系のはたす役割は大きい. この三叉神経系は脳神経の中でも最大の支配領域を有し, 体性神経系と自律神経系の境界領域である顎・口腔・顔面領域を支配する鰓弓神経を構成する. したがって, 三叉神経は発生学的には鰓弓神経でありながら体性神経と自律神経の要素を合わせもち, 脳神経の中では独特の線維構成と中枢内伝導路を示す. 一方, 顎運動において咀嚼運動はリズム発生機構を延髄網様体にもち2), 三叉神経運動核のニューロンは顎運動を制御する最終共通経路を形成する. また系統発生学的に原始動物の鰓運動は哺乳類の顎運動へと変化を示すと考えられ, ヒトの個体発生および生後発達においては歯の萌出とともに吸啜運動から咀嚼運動へと変化する. したがって, ヒトの顎運動を制御する三叉神経運動核の生後発達は, 顎運動の系統発生および個体発生を反映するものと考えられ, それに相関した中枢神経内の神経回路網にある一定の変化を生ずることが予想される.
ISSN:0454-8302