肺MALTリンパ腫再発と鑑別を要した肺Mycobacteroides abscessus species症の1例

「要旨」:症例は66歳女性. X-19年に肺多発腫瘤を指摘され, 胸腔鏡下肺生検にて肺MALTリンパ腫と診断された. 化学療法により完全寛解が得られたが, 腫瘤であった部分は空洞化し残存した. その後, 定期的な経過観察が行われていたが, X-1年より月単位で進行する湿性咳嗽が出現し, X年の胸部CT検査で残存する左肺空洞, 嚢状気管支拡張内および周囲に複数の結節性病変を認めた. 肺MALTリンパ腫再発が考えられたが, 喀痰培養でMycobacteroides abscessus speciesが検出され加療目的に入院した. 薬剤感受性検査で3日, 14日ともマクロライド感受性であることが判明...

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Published in結核 Vol. 100; no. 2; pp. 41 - 44
Main Authors 山本友梨, 藤野直也, 佐野寛仁, 京極自彦, 突田容子, 東出直樹, 塩谷梨沙子, 竹田俊一, 山田充啓, 杉浦久敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2025
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」:症例は66歳女性. X-19年に肺多発腫瘤を指摘され, 胸腔鏡下肺生検にて肺MALTリンパ腫と診断された. 化学療法により完全寛解が得られたが, 腫瘤であった部分は空洞化し残存した. その後, 定期的な経過観察が行われていたが, X-1年より月単位で進行する湿性咳嗽が出現し, X年の胸部CT検査で残存する左肺空洞, 嚢状気管支拡張内および周囲に複数の結節性病変を認めた. 肺MALTリンパ腫再発が考えられたが, 喀痰培養でMycobacteroides abscessus speciesが検出され加療目的に入院した. 薬剤感受性検査で3日, 14日ともマクロライド感受性であることが判明し, イミペネム, アミカシン, アジスロマイシン, クロファジミンによる多剤併用療法を開始した. 初期治療開始1カ月後の喀痰培養は陰性化し, 胸部CT検査では空洞内の多発結節性病変は縮小した. 空洞内結節病変の鑑別としてリンパ腫, 真菌症, 抗酸菌症等が挙げられたが, 抗菌化学療法が奏効したことから, 本症例の空洞内結節は肺M. abscessus species症による病変と考えられた.
ISSN:0022-9776