アルゴンプラズマ凝固法(APC)により止血し得た直腸vascular ectasiaの1例

「はじめに」近年, 本邦では大腸出血の原因としてvascular ectasiaをあげる報告が増加している1). 今回, 直腸vascular ectasiaからの出血に対しアルゴンプラズマ凝固法(APC)が著効した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:72歳, 男性. 主訴:排便時出血. 既往歴:前立腺癌に対して放射線治療がなされている. 現病歴:平成13年9月頃より排便時に便柱表面に血液が付着するようになり, 徐々に血液量の増加をみた. 平成14年9月11日近医受診. . 大腸内視鏡検査にて直腸内に新鮮血がみられ, 多発性に斑状の毛細血管拡張部を認めたため, 加療のため9月12日当科...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 126 - 128
Main Authors 菊地政貴, 浜田節雄, 高橋威洋, 三角みその, 吉田裕, 村上三郎, 平山廉三, 松本俊雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 25.11.2003
Online AccessGet full text
ISSN1348-9844

Cover

More Information
Summary:「はじめに」近年, 本邦では大腸出血の原因としてvascular ectasiaをあげる報告が増加している1). 今回, 直腸vascular ectasiaからの出血に対しアルゴンプラズマ凝固法(APC)が著効した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:72歳, 男性. 主訴:排便時出血. 既往歴:前立腺癌に対して放射線治療がなされている. 現病歴:平成13年9月頃より排便時に便柱表面に血液が付着するようになり, 徐々に血液量の増加をみた. 平成14年9月11日近医受診. . 大腸内視鏡検査にて直腸内に新鮮血がみられ, 多発性に斑状の毛細血管拡張部を認めたため, 加療のため9月12日当科に紹介された. 初診時身体所見:腹部に異常所見はない. 直腸指診で新鮮血の付着が認められた. 血液検査所見:血算では, Hb 15.1g/dlと貧血はない. 生化学検査でも異常値を認めなかった. 凝固系検査でもAPTT 30.2秒, PT 12.4秒と凝固能の異常はなかった. 大腸内視鏡所見(1回目):直腸指診にて新鮮血付着があり, 同日緊急内視鏡検査を行った. 肛門管から直腸Rbにかけて著明に毛細血管の拡張した個所(径1~20mmまで)が斑状に約50個程みられ, このうちの数個にoozingが認められ, 直腸vascular ectasiaと診断した(Color 1).
ISSN:1348-9844