MDCTを用いた冠動脈評価-4列,16列の比較

近年, 高い時間分解能と空間分解能を有する多列検出器のヘリカルCT(multi detector row helical CT, MDCT)が心血管領域で活用されている. 冠動脈3枝にステントが計5個留置されている症例に対し, GE社製4列MDCT(スライス厚1.25mm)と16列MDCT(同0.625mm)を施行. Volume rendering(VR)法とcurved multiple planar reconstruction(c-MPR)法による画像を比較し, さらに16列施行10日後の冠動脈造影(CAG)と対比することで, MDCTの利点や課題に関し検討した. 4列と比較し, 16...

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Published in心臓 Vol. 36; no. 12; pp. 821 - 827
Main Authors 北川知郎, 藤井隆, 友弘康之, 前田幸治, 小林正和, 関口善孝, 鈴木孝之, 藤川光一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.12.2004
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ISSN0586-4488

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Summary:近年, 高い時間分解能と空間分解能を有する多列検出器のヘリカルCT(multi detector row helical CT, MDCT)が心血管領域で活用されている. 冠動脈3枝にステントが計5個留置されている症例に対し, GE社製4列MDCT(スライス厚1.25mm)と16列MDCT(同0.625mm)を施行. Volume rendering(VR)法とcurved multiple planar reconstruction(c-MPR)法による画像を比較し, さらに16列施行10日後の冠動脈造影(CAG)と対比することで, MDCTの利点や課題に関し検討した. 4列と比較し, 16列では撮像(息止め)時間が半減し, 造影剤量も減少した. VR法による近位部から中部冠動脈, ステント位置および開存性の評価は両列において可能であったが, 末梢側を含めた冠動脈全体像は明らかに16列が優位であった. 16列にて右冠動脈#3部分がCAGと比し有意狭窄として過大評価されたが, MDCTにて描出された狭窄がCAGで逆に過小評価された可能性も考えられた. 16列にて左回旋枝#13の有意狭窄が認知困難であったが, 左回旋枝#11~#13付近は可動性が大きく, さらに冠静脈と重なることが多いため評価が困難で, より詳細な検討が必要と考えられた. c-MPR法によるステント内狭窄率評価は, 金属アーチファクトのため16列にても不十分であった. MDCT検査は種々の制限はあるが, 冠動脈の非侵襲的検査法として有用と考えられた.
ISSN:0586-4488