左アキレス腱周囲に肉芽腫を形成した黒色真菌症の1症例

「はじめに」黒色真菌症の多くは皮膚科領域で認められ, その多くは皮下組織までに止まるものがほとんどで軟部組織の深部にまで波及した黒色真菌感染症は極めて稀である. 今回私達は左アキレス腱と胆骨の間に発生した黒色真菌症による肉芽腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:63歳男性 主訴:左アキレス腱部の腫瘤 家族歴:特記すべき事項なし 既往歴:糖尿病 職歴:農業(主に椎茸栽培) 現病歴:平成12年2月頃, 左足関節外側部に鶏卵大の硬い腫瘤に気付いた. 痛みがないためそのまま放置していたが, 2ケ月間で増大傾向認め, また同時に, 患部に擦過傷を負い滲出液の流出を認めたため近医...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 852 - 856
Main Authors 馬場美奈子, 吉田盛治, 平博文, 平山隆久, 戸澤興治, 津村弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」黒色真菌症の多くは皮膚科領域で認められ, その多くは皮下組織までに止まるものがほとんどで軟部組織の深部にまで波及した黒色真菌感染症は極めて稀である. 今回私達は左アキレス腱と胆骨の間に発生した黒色真菌症による肉芽腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:63歳男性 主訴:左アキレス腱部の腫瘤 家族歴:特記すべき事項なし 既往歴:糖尿病 職歴:農業(主に椎茸栽培) 現病歴:平成12年2月頃, 左足関節外側部に鶏卵大の硬い腫瘤に気付いた. 痛みがないためそのまま放置していたが, 2ケ月間で増大傾向認め, また同時に, 患部に擦過傷を負い滲出液の流出を認めたため近医受診した. MRIにて軟部腫瘍を疑われ精査加療目的にて当科紹介入院となった. 入院時現症:視診上左足関節外側の腫瘤の直上に擦過傷があり, その部から滲出液を認めた(図1). 腫瘤表面に発赤を認めた. 触診にて同部に, 境界不明瞭な大きさが5×7cmの弾性軟で可動性不良な熱感を伴う腫瘤を触知した.
ISSN:0037-1033