岡山県の献血者におけるGBV-Cの感染率について

[目的]近年, 輸血後非A非B非C肝炎の一要因としてGBV-C(Simons et al. :Natue Medicine 1:564-569, 1995)とHGV(Linnen et al. :Science 271:505-508, 1996)が相次いで報告されたが, この二つのウイルスは同一のものであることが明らかになってきた. 現在, このウイルスに対する優れた抗体検査法は開発されておらず, PCR法を用いて直接GBV-C RNAを検出しなければならないため, このウイルスの感染状況の疫学的調査なども十分とは言えない. そこで, 我々は岡山県の献血者を対象にし, 2種類のプライマーを用...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 297
Main Authors 栗木原修治, 直木恭子, 宮原正行, 喜多嶋康一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:[目的]近年, 輸血後非A非B非C肝炎の一要因としてGBV-C(Simons et al. :Natue Medicine 1:564-569, 1995)とHGV(Linnen et al. :Science 271:505-508, 1996)が相次いで報告されたが, この二つのウイルスは同一のものであることが明らかになってきた. 現在, このウイルスに対する優れた抗体検査法は開発されておらず, PCR法を用いて直接GBV-C RNAを検出しなければならないため, このウイルスの感染状況の疫学的調査なども十分とは言えない. そこで, 我々は岡山県の献血者を対象にし, 2種類のプライマーを用いてGBV-CRNAの検出を試み, 県下のGBV-C感乗率を調査した. [方法]対象は, HCV抗体陽性献血者131例(うちHCV-RNA陽性38例), 輸血歴をもつ献血者96例, HCVおよびHBVの感染マーカーをもたない献血者(健常者)75例とした. GBV-C RNAはAGPC法を用いて血清(あるいは血漿)200μlから抽出した. 使用したプライマーは橋本ら(肝臓1996;37:446)の5-非翻訳領域を標的としたものとYosibaら(Lancet 1995;346:1131-2)のhelicase標旗城を標的にしたものを用いた. [結果]これまで, HCV抗体HCV-RNA陽性38例中4例(11%), HCV抗体陽性HCV-RNA陰性93例中1例(1%), 輸血歴をもつ献血者96例中1例(1%)にGBV-C RNAが検出された. また, 健常者75例にはGBV-C RNAは検出されなかった. なお, プライマーの遭いによるGBV-C RNA陽性例の乖離は現在のところ認められなかった. [考察]岡山県の献血者におけるGBV-C感染串を調査した結果, HCV抗体陽性者(RNA陽性)が約11%, HCV抗体陽性者(RNA陰性)が的1%であった. このように, HCV-RNA陽性献血者に11%と高頻度にGBV-C RNAが検出されたことより, GBV-CはHCVと同様な経路により感棄していることが示唆される. また, 輸血歴をもつ献血者のGBV-Cの感染率は約1%と予想外に低かった. 今後, ALT異常値を示す献血者など, さらに例数を糟やして検討していく予定である.
ISSN:0546-1448