タコツボ型心筋障害の成因

タコツボ型心筋障害は, (左心室もしくは両心室の)心尖部を中心とする広範な壁運動の可逆的な収縮低下を示す病態に付けられた名称で, 心基部が対照的に過収縮を起こすことを特徴とする. 本疾患は1990年に広島市民病院の佐藤光先生ら1)が, 急性心筋梗塞様の症候を示す症例の一部に, 冠状動脈病変が無く, 心尖部がバルーン状を示した左心室造影右前斜位収縮期像を「タコツボ型」と形容した論文に始まる. しかし, 本病態は以前から存在していたと考えられる. 本病態での左心室壁運動異常は短期間で正常化するので, 超急性期の造影を行わなければ, 左心室機能が短期間に回復したcoronary free症例として,...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 3; pp. 217 - 220
Main Author 河合祥雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.03.2002
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Summary:タコツボ型心筋障害は, (左心室もしくは両心室の)心尖部を中心とする広範な壁運動の可逆的な収縮低下を示す病態に付けられた名称で, 心基部が対照的に過収縮を起こすことを特徴とする. 本疾患は1990年に広島市民病院の佐藤光先生ら1)が, 急性心筋梗塞様の症候を示す症例の一部に, 冠状動脈病変が無く, 心尖部がバルーン状を示した左心室造影右前斜位収縮期像を「タコツボ型」と形容した論文に始まる. しかし, 本病態は以前から存在していたと考えられる. 本病態での左心室壁運動異常は短期間で正常化するので, 超急性期の造影を行わなければ, 左心室機能が短期間に回復したcoronary free症例として, 看過される. 近年の冠状動脈造影, 左心室造影の普及および検査施行年齢上限の上昇化に伴い, 急性心筋梗塞類似の臨床病態をとる症例中に本症が見いだされてきたと想定される.
ISSN:0586-4488