脊髄疾患に起因した脊柱側弯症の2例

「はじめに」特発性と考えられる側弯症例の中に脊髄病変を原因とする症例が稀に存在することから近年, 側弯症患者における頭頸部MRIの重要性に関する報告が散見されるようになった. 今回我々は, 脊髄疾患に起因したと考えられる脊柱側弯症2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 「症例」[症例1]5歳11ケ月 男児 <主訴>脊柱変形 <現病歴>平成9年8月, 母親が歩容異常に気付き近医整形外科を受診, 脊柱側弯症と診断され経過を見られていた. 平成10年1月, 右足の運動麻痺が出現, MRI上脊髄空洞症, Chiari奇形I型が発見され(図1)同年4月, 当院脳神経外科にて後頭下減圧術, シ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 3; pp. 669 - 673
Main Authors 岡田麻里, 田島直也, 久保紳一郎, 黒木浩史, 渡邊信二, 後藤啓輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2000
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Summary:「はじめに」特発性と考えられる側弯症例の中に脊髄病変を原因とする症例が稀に存在することから近年, 側弯症患者における頭頸部MRIの重要性に関する報告が散見されるようになった. 今回我々は, 脊髄疾患に起因したと考えられる脊柱側弯症2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 「症例」[症例1]5歳11ケ月 男児 <主訴>脊柱変形 <現病歴>平成9年8月, 母親が歩容異常に気付き近医整形外科を受診, 脊柱側弯症と診断され経過を見られていた. 平成10年1月, 右足の運動麻痺が出現, MRI上脊髄空洞症, Chiari奇形I型が発見され(図1)同年4月, 当院脳神経外科にて後頭下減圧術, シャント形成術が施行された. そして, 術後3週間経過した5月, 側弯症に対する加療目的にて当科紹介初診となった. <既往歴・家族歴>特記事項なし <治療経過>初診時の単純X線(図2a)にてT6-T10-L2に各々左凸14°, 右凸27°の側弯を認めたため装具療法を開始した.
ISSN:0037-1033