劇症肝炎症例にたいする交換輸血の効果-大量輸血による副作用面の検討に重点をおいて

劇症肝炎にたいする交換輸血療法の効果については, その有効性を認める報告と, 明らかに否定的な見解を述べた報告とがある1)~4). 著者は過去8年間に, 14例の劇症肝炎症例について本療法を施行し, うち2例に救命効果をえたが, 肝性昏睡からの覚醒あるいは意識レベルの改善を認めながらも, 結局は救命に至らなかった例を加えると, およそ40%の有効率にまであげうる可能性をもつと考えられるので, 剖検例を中心にして死因を究明し, 本療法が及ぼしたと考えられる病像修飾から, 本療法による覚醒ないし救命効果の背景を探り, 一方, 大量同量交換輸血あるいは河村5)のいう過剰大量輸血, すなわち脱血量を上...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 24; no. 1/2; pp. 25 - 29
Main Author 太田康幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.07.1978
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Summary:劇症肝炎にたいする交換輸血療法の効果については, その有効性を認める報告と, 明らかに否定的な見解を述べた報告とがある1)~4). 著者は過去8年間に, 14例の劇症肝炎症例について本療法を施行し, うち2例に救命効果をえたが, 肝性昏睡からの覚醒あるいは意識レベルの改善を認めながらも, 結局は救命に至らなかった例を加えると, およそ40%の有効率にまであげうる可能性をもつと考えられるので, 剖検例を中心にして死因を究明し, 本療法が及ぼしたと考えられる病像修飾から, 本療法による覚醒ないし救命効果の背景を探り, 一方, 大量同量交換輸血あるいは河村5)のいう過剰大量輸血, すなわち脱血量を上廻る輸血という観点から考えられる問題点を明らかにすることで, 本療法での救命効果をあげるために必要な技術上の問題点を明らかにすることを意図した.
ISSN:0546-1448