全国保健所への質問紙調査に基づく技能実習生の結核患者の実態と課題, 2018
要旨:〔目的〕技能実習生の結核患者について質問紙による実態調査を行い課題を明らかにする. 〔結果〕全国485保健所中, 428保健所から回答を得た(回答率88.2%). 技能実習生の結核患者は501人(活動性結核332人, 潜在性結核感染症 [LTBI] 169人)登録されていた. 20代が76%, 出身国はベトナム, インドネシア, フィリピンで全体の7割を占めた. 活動性結核の約半数は職場健診で, 喀痰塗抹陽性者の半数は有症状受診で発見された. 治療成績は, 活動性結核で治療成功77.4%, 脱落0.3%, 転出21.4%, LTBIで治療完了79.3%, 脱落1.8%, 転出13.6%で...
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Published in | 結核 Vol. 97; no. 3; pp. 155 - 161 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.05.2022
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨:〔目的〕技能実習生の結核患者について質問紙による実態調査を行い課題を明らかにする. 〔結果〕全国485保健所中, 428保健所から回答を得た(回答率88.2%). 技能実習生の結核患者は501人(活動性結核332人, 潜在性結核感染症 [LTBI] 169人)登録されていた. 20代が76%, 出身国はベトナム, インドネシア, フィリピンで全体の7割を占めた. 活動性結核の約半数は職場健診で, 喀痰塗抹陽性者の半数は有症状受診で発見された. 治療成績は, 活動性結核で治療成功77.4%, 脱落0.3%, 転出21.4%, LTBIで治療完了79.3%, 脱落1.8%, 転出13.6%であった. 国外転出の約半数が実習終了に伴う在留資格喪失により帰国した. 母国で治療継続が確認できたのは国外転出の8分の1だった. 全結核患者の約半数は日本語が理解できず, 職場から通訳が派遣されていた. 中立的な立場の通訳の利用は3.6%だった. 〔結論〕技能実習生の結核患者の治療成功率は, 同年の日本全体のそれよりも良好であり, 治療脱落率は低かった. 結核治療のための査証の延長, 医療通訳の利用, 定期健診の機会の付与等が重要である. |
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ISSN: | 0022-9776 |