廃用性筋萎縮における活性酸素の関与

【目的】廃用性筋萎縮はリハビリテーション医学領域において重要な課題の一つである. 今回われわれはラットの廃用性筋萎縮モデルを作製し, その発生機序を活性酸素の関与から検討したので報告する. 【方法】8適齢のWistar系ラットを対象とし, 廃用モデル7例, 対照7例とした. 廃用モデル作製は体幹コルセットによる吊り上げの方法で2週間の期間をとった. この方法で廃用性筋萎縮を生じることは組織学的にも先に報告済みである. これらのモデルより大腿四頭筋, 下腿三頭筋を採取し組織学的に筋壊死等の状態を確認した. 同時に活性酸素系の関与を検討するため外側広筋, ヒラメ筋を用い活性酸素の消去系であるSup...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; p. 887
Main Authors 小林昌之, 蜂須賀研二, 緒方甫, 南里宏樹, 池田正春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】廃用性筋萎縮はリハビリテーション医学領域において重要な課題の一つである. 今回われわれはラットの廃用性筋萎縮モデルを作製し, その発生機序を活性酸素の関与から検討したので報告する. 【方法】8適齢のWistar系ラットを対象とし, 廃用モデル7例, 対照7例とした. 廃用モデル作製は体幹コルセットによる吊り上げの方法で2週間の期間をとった. この方法で廃用性筋萎縮を生じることは組織学的にも先に報告済みである. これらのモデルより大腿四頭筋, 下腿三頭筋を採取し組織学的に筋壊死等の状態を確認した. 同時に活性酸素系の関与を検討するため外側広筋, ヒラメ筋を用い活性酸素の消去系であるSuperoxide dismutase (SOD), Glutathion peroxidase (GPX), マロンジアルデヒド(MDA)を分光光学的に計測した. 【結果】廃用モデルにおいてヒラメ筋のSODは増加, GPXはやや減少, MDAは増加していた. 【結論】生体に酸化的ストレスが加わると抗酸化酵素が誘導されることが知られており, 外側広筋, ヒラメ筋で解釈の仕方が異なるが, 本結果から何らかの形(特にミトコンドリアを多く含む筋)で廃用性筋萎縮の発生には活性酸素の関与があることが示唆された.
ISSN:0034-351X