掌蹠膿疱症患者における扁桃リンパ球のsubsetとその機能

「I 序論」掌蹠膿疱症(pustulosis palmaris et plantaris:PPP)は主に掌蹠の非感染性膿疱形成を特徴とする極めて難治性の慢性皮膚疾患として知られている. その発症原因については種々の研究結果が報告されている. 例えば膿疱の形成原因については, 皮下膿疱壁に免疫グロブリンおよび補体の沈着がみとめられ, 膿疱内で免疫複合体め産生がおこなわれている可能性があることから免疫複合体の沈着が膿疱の形成をもたらすとする報告などがある. しかしこれはまだ十分な解明はなされていない. ただこの疾患の治療に関しては扁桃摘出の有効性が一般にみとめられており, 扁桃がこの疾患の発症の上...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 90; no. 6; pp. 922 - 928
Main Authors 池田真, 飯塚啓介, 北原哲, 田中英一, 島崎孝嗣, 森田一郎, 田部哲也, 坂田淳一, 中之坊学, 飯田祐起子, 井上鉄三, 鶴純明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.1987
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「I 序論」掌蹠膿疱症(pustulosis palmaris et plantaris:PPP)は主に掌蹠の非感染性膿疱形成を特徴とする極めて難治性の慢性皮膚疾患として知られている. その発症原因については種々の研究結果が報告されている. 例えば膿疱の形成原因については, 皮下膿疱壁に免疫グロブリンおよび補体の沈着がみとめられ, 膿疱内で免疫複合体め産生がおこなわれている可能性があることから免疫複合体の沈着が膿疱の形成をもたらすとする報告などがある. しかしこれはまだ十分な解明はなされていない. ただこの疾患の治療に関しては扁桃摘出の有効性が一般にみとめられており, 扁桃がこの疾患の発症の上で何らかのfocusとなっている可能性は多くの研究者が指摘している. 例えば小野らは皮膚科的治療を含めた扁摘以外の治療を受けた非扁摘群の皮疹の治癒率は1年以内9.5%, 2年以内20.2%であったのに対し, 扁摘群の治癒率は1年以内50.2%, 2年以内71.8%と報告しており治療法としての扁摘の有効性を強調している. さらに高橋らもPPPの治療で扁摘が著効を示したものは, 長期的に経過を観察すると94%であったとしている. また形浦らは免疫組織学的手法等を用いて病巣性扁桃炎ではT/B細胞比が小児の扁桃にくらべて増大していることを報告している.
ISSN:0030-6622