斑状歯をもった白骨死体の鑑定例

「緒言」身元不明死体の個人識別を行うにあたって, 歯科的所見はきわめて重要であるため, 異同識別を行うには, より多くの正確な歯科的資料が必要である. また, 病的な歯牙, とくに斑状歯が認められると, ある程度の地域が特定され, 異同識別を行うにあたって重要な所見の1つとなる. 本事例は, 歯科的資料が提供され, なおかつ斑状歯も認められたことから, より正確な異同識別を行ったので報告する. 事例の概要 平成3年11月27日, 神奈川県愛甲郡清川村宮ケ瀬の山林内において, コンクリート詰めの白骨死体が発見された. 遺体の性別は, 頭蓋骨の特徴より女性と判定し, 年齢は, アミノ酸ラセミ化法に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 27; no. 4; pp. 563 - 568
Main Authors 宇都宮丈児, 簑島忠夫, 山岸光男, 小笠原章夫, 大谷進, 山本勝一, 吉沢英樹, 鈴木和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1993
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:「緒言」身元不明死体の個人識別を行うにあたって, 歯科的所見はきわめて重要であるため, 異同識別を行うには, より多くの正確な歯科的資料が必要である. また, 病的な歯牙, とくに斑状歯が認められると, ある程度の地域が特定され, 異同識別を行うにあたって重要な所見の1つとなる. 本事例は, 歯科的資料が提供され, なおかつ斑状歯も認められたことから, より正確な異同識別を行ったので報告する. 事例の概要 平成3年11月27日, 神奈川県愛甲郡清川村宮ケ瀬の山林内において, コンクリート詰めの白骨死体が発見された. 遺体の性別は, 頭蓋骨の特徴より女性と判定し, 年齢は, アミノ酸ラセミ化法による歯からの年齢推定を行い, 19歳±3歳と算出した. 口腔内は, 斑状歯, 金属焼付陶材冠, 全部鋳造冠, インレーおよびレジン充填など, 個人識別に役立つ特徴的所見が認められた. 平成4年2月10日になって, 年齢, 身長, 血液型がおおかた符合する当時21歳の女性の捜索願が出されていることが判明した.
ISSN:0454-8302