Stanford A型大動脈解離の術中に発生した脳血流障害の発見に近赤外線酸素飽和度モニターが有用であった一例

「要旨」 当院ではStanford A型大動脈解離に対する手術中, 近赤外線酸素飽和度モニターを前頭部に装着して組織酸素化指標(tissue oxygenation index:TOI)を連続的に観察し, 脳血流障害の指標としている. 本症例では右腋窩動脈および左大腿動脈からの送血で大動脈基部および部分弓部置換術を行い, その後送血部位を大腿動脈のみに変更したところTOIと左橈骨動脈圧の低下が観察された. 脳血流障害を疑い, 置換した人工血管の側枝から順行性送血を行ったところTOIが回復し術後の低酸素脳症を回避できた. 大動脈解離の手術における脳血流障害の報告は散見されるが, その多くは各所動...

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Published in体外循環技術 Vol. 40; no. 4; pp. 513 - 516
Main Authors 宮川宜之, 丸山朋康, 伊藤江美, 栗原広兼, 中島まゆき, 高尾彰孝, 宮崎和浩, 中澤秀太, 河野哲也, 筒井洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2013
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Summary:「要旨」 当院ではStanford A型大動脈解離に対する手術中, 近赤外線酸素飽和度モニターを前頭部に装着して組織酸素化指標(tissue oxygenation index:TOI)を連続的に観察し, 脳血流障害の指標としている. 本症例では右腋窩動脈および左大腿動脈からの送血で大動脈基部および部分弓部置換術を行い, その後送血部位を大腿動脈のみに変更したところTOIと左橈骨動脈圧の低下が観察された. 脳血流障害を疑い, 置換した人工血管の側枝から順行性送血を行ったところTOIが回復し術後の低酸素脳症を回避できた. 大動脈解離の手術における脳血流障害の報告は散見されるが, その多くは各所動脈圧モニターの異常より発見されている. NIROによるTOIの連続観察により脳血流障害の発見と送血部位の変更による改善の評価がなされた症例報告は少ない. 今回, 若干の考察を加えて報告する.
ISSN:0912-2664