原因不明の頚部気管狭窄に対してシリコン製T tubeを挿入した1例

症例は, 55歳, 女性. 昭和53年より, 咳嗽, 血痰を認め, 平成6年10月, 労作時呼吸困難を主訴に, 当科受診, 原因不明の声門下気管狭窄症と診断された. 狭窄部位の診断には, 頚部軟線撮影側画像が有用で, 声帯直下より, 気管壁の肥厚が続き, 声帯下4cmの部位で, 高度の膜様狭窄を認めた. 病理組織学的には, 気管粘膜の扁平上皮化生であった. 気管形成術を考慮したが, 気管粘膜は声帯直下より, 変化を認め, 狭窄の原因が不明なため, 我々は, T tubeを挿入し, 狭窄を解除した. 現在, 5ヵ月間留置し, 呼吸困難もなく外来観察中. 今後, 1年ないし2年間の留置の予定である...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 4; p. 404
Main Authors 原英則, 品田純, 林宗博, 後藤毅, 吉村博邦, 矢那瀬信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.05.1996
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Summary:症例は, 55歳, 女性. 昭和53年より, 咳嗽, 血痰を認め, 平成6年10月, 労作時呼吸困難を主訴に, 当科受診, 原因不明の声門下気管狭窄症と診断された. 狭窄部位の診断には, 頚部軟線撮影側画像が有用で, 声帯直下より, 気管壁の肥厚が続き, 声帯下4cmの部位で, 高度の膜様狭窄を認めた. 病理組織学的には, 気管粘膜の扁平上皮化生であった. 気管形成術を考慮したが, 気管粘膜は声帯直下より, 変化を認め, 狭窄の原因が不明なため, 我々は, T tubeを挿入し, 狭窄を解除した. 現在, 5ヵ月間留置し, 呼吸困難もなく外来観察中. 今後, 1年ないし2年間の留置の予定である.
ISSN:0287-2137