鼻アレルギー鼻粘膜の複合糖質―レクチンによる電顕組織化学

複合糖質とは, 糖質(単糖, 繰り返し二糖, 多糖)と蛋白質や脂質などが結合したものをいい, これらは広義にはムコ多糖ないしはムコ物質と呼ばれていた1). ムコ物質はプロテオグリカンと糖蛋白質に大別され, 両者の主な違いは糖鎖部分にある. 前者は主に間質, 骨, 軟骨, 結合織など, 間葉系組織に存在するが, 後者は血清, 形質膜, 粘液などに存在し, これはさらに血清型糖蛋白質とムチン型糖蛋白質に分類される. 上皮性粘液はすべてムチン型糖蛋白質より構成されている2)3)4). ムコ物質は気道においては, 粘液繊毛機能と密接に関与し, 自浄作用や生体防御に関係がある. 複合糖質は量的, 質的に...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 92; no. 5; pp. 709 - 821
Main Authors 金春順, 鵜飼幸太郎, 坂倉康夫, 山田弘之, 増田佐和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.1989
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Summary:複合糖質とは, 糖質(単糖, 繰り返し二糖, 多糖)と蛋白質や脂質などが結合したものをいい, これらは広義にはムコ多糖ないしはムコ物質と呼ばれていた1). ムコ物質はプロテオグリカンと糖蛋白質に大別され, 両者の主な違いは糖鎖部分にある. 前者は主に間質, 骨, 軟骨, 結合織など, 間葉系組織に存在するが, 後者は血清, 形質膜, 粘液などに存在し, これはさらに血清型糖蛋白質とムチン型糖蛋白質に分類される. 上皮性粘液はすべてムチン型糖蛋白質より構成されている2)3)4). ムコ物質は気道においては, 粘液繊毛機能と密接に関与し, 自浄作用や生体防御に関係がある. 複合糖質は量的, 質的に生理的状態から病態にいたる変化に応じて容易に変化を起こす. これらの質的な変化は一般にペプチド部分に認められず糖部分にみられる. 今回, 我々は糖に対する特異的結合活性をもったレクチンを用い分泌の亢進している鼻アレルギー鼻粘膜の病態の一端を解明する目的で, 主に電顕的組織化学法により鼻粘膜の分泌細胞のレクチン反応性を正常鼻粘膜の分泌細胞と比較検討した.
ISSN:0030-6622