当院における乳腺穿刺吸引細胞診の迅速診断の有用性

目的:当院乳腺外来では1986年より病理部と連携して穿刺吸引細胞診(FNAC)の迅速診断を施行してきた. 今回その有用性を考察した. 対象および方法:1986年から2001年までの16年間に当院で施行した乳腺FNACは3, 101例であった. 1998年より毎週外科/病理部乳腺カンファランスを開催し, 誤判定の減少に勤め, 治療方針の決定に役立ててきた. 結果:穿刺から病理レポート完成, 患者への説明まで約2時間. 細胞診の結果, 良性2, 143例(69. 1%), 境界病変215例(6. 9%), 悪性319例(10. 3%), 判定不能424例(13. 7%)で, 正診率は99. 2%で...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 602
Main Authors 横山正, 江上格, 笹島耕二, 渡邊秀裕, 長谷川博一, 宮本昌之, 飯田信也, 鈴木成治, 丸山弘, 吉岡正智, 前田昭太郎, 細根勝, 片山博徳, 田尻孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:当院乳腺外来では1986年より病理部と連携して穿刺吸引細胞診(FNAC)の迅速診断を施行してきた. 今回その有用性を考察した. 対象および方法:1986年から2001年までの16年間に当院で施行した乳腺FNACは3, 101例であった. 1998年より毎週外科/病理部乳腺カンファランスを開催し, 誤判定の減少に勤め, 治療方針の決定に役立ててきた. 結果:穿刺から病理レポート完成, 患者への説明まで約2時間. 細胞診の結果, 良性2, 143例(69. 1%), 境界病変215例(6. 9%), 悪性319例(10. 3%), 判定不能424例(13. 7%)で, 正診率は99. 2%であった. 診断困難例では, FNAC再検, 針生検, 摘出生検, 術中迅速病理診断により確定診断するが, 現在までに偽陽性にて誤って乳房切除した例はない. 考察:FNACの迅速診断の利点は, 当日結果が判明するため以後の診療計画が速やかに立てられる, 結果判明までの患者の不安感を減少できることなどである. また診断困難例ではFNAC再検または針生検を施行するが, 迅速診断を行わない場合と比べ確定診断までの期間を一層短縮化できる. ただし, 即日患者に癌告知をする際は, その精神的苦痛に十分配慮する必要がある. 以上より, 乳腺FNACの迅速診断は, 患者と医療側双方に有用であると考えられた. さらにFNACの判定には, 臨床, 病理両者の密な情報交換が重要であることが再認識された.
ISSN:1345-4676