長期生存し得た単心房の1剖検例

症例は44歳, 女性. 12歳頃より坂道で動悸, 息切れが出現. 18歳時には平地歩行でも症状がみられるようになった. 28歳時某大学病院で心内膜床欠損症と診断されたが, Eisenmenger症候群を呈していたため手術適応なく, 以後近医で経過観察. 42歳時夜間呼吸困難が増強し当院に入院. 心エコーで心房中隔はみられず, 強度の僧帽弁および三尖弁閉鎖不全を呈し, 単心房と診断した. 心不全治療および在宅酸素導入で一時軽快し退院. 44歳になり, 再び呼吸困難, 乏尿, 腹部膨満により入院となった. 入院時CTR91%と著明な心拡大と肺うっ血を呈し心不全治療を行ったが, 心室頻拍を繰り返し死...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 1; pp. 36 - 40
Main Authors 小久保義和, 川口竹男, 大野安美, 井関砂絵, 長谷川章雄, 梅村敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.01.2002
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ISSN0586-4488

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Summary:症例は44歳, 女性. 12歳頃より坂道で動悸, 息切れが出現. 18歳時には平地歩行でも症状がみられるようになった. 28歳時某大学病院で心内膜床欠損症と診断されたが, Eisenmenger症候群を呈していたため手術適応なく, 以後近医で経過観察. 42歳時夜間呼吸困難が増強し当院に入院. 心エコーで心房中隔はみられず, 強度の僧帽弁および三尖弁閉鎖不全を呈し, 単心房と診断した. 心不全治療および在宅酸素導入で一時軽快し退院. 44歳になり, 再び呼吸困難, 乏尿, 腹部膨満により入院となった. 入院時CTR91%と著明な心拡大と肺うっ血を呈し心不全治療を行ったが, 心室頻拍を繰り返し死亡した. 剖検では, 単心房, 不完全型心内膜床欠損, 重複下大静脈, 多脾症を認めた. 単心房は先天性心疾患の0.2-0.5%とまれで, 手術を行わず44歳まで生存し得た症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488