歯槽骨からの人獣鑑別に関する組織学的研究

「緒言」動物の硬組織である歯や骨は, 死後に軟組織が失われた後も長期間原形を保ち続けているため, 法医学上での人獣鑑別には極めて重要な検査資料となる. 山本は, 「人獣鑑別とはヒトと動物を識別して, 犯罪との関わりがあるかどうかを見極めるための検査法であるから, 資料はヒトのものか動物のものかという課題から出発する」と著書の中で述べ, 加えて, 鑑定に供される資料が破損することなく個体の原形がほぼそろっている場合は勿論のこと, 歯牙や骨などが小片状を呈する場合においても, 正確に人獣鑑別を成就しうるような基礎的検索法を確立することがきわめて重要であることを指摘している. 歯からの人獣鑑別に関す...

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Published in神奈川歯学 Vol. 28; no. 2; pp. 152 - 165
Main Authors 吉沢英樹, 山本勝一, 鈴木和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1993
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」動物の硬組織である歯や骨は, 死後に軟組織が失われた後も長期間原形を保ち続けているため, 法医学上での人獣鑑別には極めて重要な検査資料となる. 山本は, 「人獣鑑別とはヒトと動物を識別して, 犯罪との関わりがあるかどうかを見極めるための検査法であるから, 資料はヒトのものか動物のものかという課題から出発する」と著書の中で述べ, 加えて, 鑑定に供される資料が破損することなく個体の原形がほぼそろっている場合は勿論のこと, 歯牙や骨などが小片状を呈する場合においても, 正確に人獣鑑別を成就しうるような基礎的検索法を確立することがきわめて重要であることを指摘している. 歯からの人獣鑑別に関する研究は, 法医学の分野のみならず, 比較解剖学的見地からも多数なされている. そこでは, 歯の形態は動物の食性と密接に関連しているので, 歯の原形がほぼ保たれていれば, 歯冠の大きさや形, 咬頭の数, 歯根の形や数などから歯種は勿論のこと動物の種類までも識別できると述べられている.
ISSN:0454-8302