Aelと考えられる一例
「目的」 ABO式血液型の遺伝子型判定は亜型, 変種等を確認する方法として有用である. 今回我々はABO式血液型ウラ検査においてA血球, B血球の凝集反応がアンバランスなO型様の症例を経験し, 遺伝子解析を実施したので報告する. 「症例」 68歳, 女性, 腰部脊柱管狭窄の手術のため入院, 特記事項無し, 手術は自己血にて対応した. ABO式オモテ検査で抗A, 抗Bとも凝集を示さず, ウラ検査においてA1血球に対し2+, B血球に対して4+を示した. A2血球を追加して検査したところ凝集が認められなかった. ヒト由来抗A抗体(オーソ社)2Lotを用いて吸着解離試験を実施したところ, 抗Aが弱く...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 224 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.2001
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 「目的」 ABO式血液型の遺伝子型判定は亜型, 変種等を確認する方法として有用である. 今回我々はABO式血液型ウラ検査においてA血球, B血球の凝集反応がアンバランスなO型様の症例を経験し, 遺伝子解析を実施したので報告する. 「症例」 68歳, 女性, 腰部脊柱管狭窄の手術のため入院, 特記事項無し, 手術は自己血にて対応した. ABO式オモテ検査で抗A, 抗Bとも凝集を示さず, ウラ検査においてA1血球に対し2+, B血球に対して4+を示した. A2血球を追加して検査したところ凝集が認められなかった. ヒト由来抗A抗体(オーソ社)2Lotを用いて吸着解離試験を実施したところ, 抗Aが弱く解離された. Aの亜型が疑われるため, 遺伝子解析を実施した. 「方法」 1:RFLP法は261,467,646,681,703を含む領域をそれぞれkpn-1, Alu-1, Mae-1, Msp-A1, Alu-1を用いて制限酵素分解を実施した. 2:As-PCR法は261,796,803をターゲットとし, As-PCR法を実施した. 3:TA-クローニングを用いたDNAシークエンス法で塩基配列を決定した. 「結果」 RFLP法の結果, 261にGの欠失は認められず, 467がT, 646がA, 681がA, 703にGが認められた. As-PCR法の結果, 261,796,803にたいしてA型特異的に増幅が認められた. またDNAシークエンス法ではA110の配列が認められた. 「考察」 DNAシークエンス法でA110と判定されたことより, 患者の血液型はAel型と考えられた. 家系調査は今のところ実施していないため確定はできないが, 現段階ではAl10のホモ接合体と考えられ, 現在SSCP法で解析中である. |
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ISSN: | 0546-1448 |