シアノアクリレートによる止血後, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行した胃静脈瘤の1例

「和文要旨」症例は63歳, 女性. アルコール性肝硬変にて通院中, 吐血のため来院. 内視鏡にて胃静脈瘤(Lg-f(F2RC(-)))からの出血を認め, シアノアクリレートを静脈瘤内に注入し止血を得た. 再出血はなかったが, 第8病日の観察でも静脈瘤表面の粘膜変化に乏しく第12病日B-RTOを追加した. 胃静脈瘤破裂の治療に関する疑問(治療法の選択, 手技の実際, 加療効果の判定, informed consentの必要性など)について考察を加えた. 「はじめに」上部消化管出血のうち, 胃静脈瘤の破裂は内視鏡的止血が困難な病変のひとつである. また原疾患に肝硬変を持つことも多く, 出血のコント...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 65; no. 2; pp. 64 - 66
Main Authors 稲森正彦, 米田正人, 藤澤信隆, 高橋宏和, 池田多聞, 島村健, 小林規俊, 河村晴信, 阿部泰伸, 桐越博之, 窪田賢輔, 斎藤聡, 坂口隆, 高邑知生, 上野規男, 中島淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 01.12.2004
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ISSN1348-9844

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Summary:「和文要旨」症例は63歳, 女性. アルコール性肝硬変にて通院中, 吐血のため来院. 内視鏡にて胃静脈瘤(Lg-f(F2RC(-)))からの出血を認め, シアノアクリレートを静脈瘤内に注入し止血を得た. 再出血はなかったが, 第8病日の観察でも静脈瘤表面の粘膜変化に乏しく第12病日B-RTOを追加した. 胃静脈瘤破裂の治療に関する疑問(治療法の選択, 手技の実際, 加療効果の判定, informed consentの必要性など)について考察を加えた. 「はじめに」上部消化管出血のうち, 胃静脈瘤の破裂は内視鏡的止血が困難な病変のひとつである. また原疾患に肝硬変を持つことも多く, 出血のコントロールが不良の場合は時に生命を脅かすこともある. 近年胃静脈瘤の治療に関して様々な研究が進められているが, 診断, 治療等において定まった見解が得られているとはいい難い. 今回我々はシアノアクリレート(アロンアルファA「三共」(R):以下, CA)による止血後, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(以下, B-RTO)を施行した胃静脈瘤破裂の1例を経験したため報告する
ISSN:1348-9844