四肢の顆粒細胞腫の2例
はじめに:顆粒細胞腫は組織学的に良, 悪性の鑑別が問題となる腫瘍である. 特に異型顆粒細胞腫では良悪性境界病変と考えられ, その診断には注意が必要である. 四肢皮下に発生した顆粒細胞腫の2例を経験したので, 電顕的観察を中心に報告する. 症例:症例1:56歳, 女性. 平成13年12月に左大腿部皮下腫瘤に気付き, その後徐々に増大したため, 平成14年8月当院整形外科を受診. 腫瘤は2. 5×3cmで, MRIより良性腫瘍が疑われた. 症例2:36歳, 女性. 約1年前より右上腕腫瘤を自覚. 平成14年4月に付属病院整形外科を受診. 腫瘤は2×2cmで, MRIからは悪性も否定できなかった....
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 604 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
15.12.2003
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | はじめに:顆粒細胞腫は組織学的に良, 悪性の鑑別が問題となる腫瘍である. 特に異型顆粒細胞腫では良悪性境界病変と考えられ, その診断には注意が必要である. 四肢皮下に発生した顆粒細胞腫の2例を経験したので, 電顕的観察を中心に報告する. 症例:症例1:56歳, 女性. 平成13年12月に左大腿部皮下腫瘤に気付き, その後徐々に増大したため, 平成14年8月当院整形外科を受診. 腫瘤は2. 5×3cmで, MRIより良性腫瘍が疑われた. 症例2:36歳, 女性. 約1年前より右上腕腫瘤を自覚. 平成14年4月に付属病院整形外科を受診. 腫瘤は2×2cmで, MRIからは悪性も否定できなかった. 病理所見:2例ともに穿刺吸引細胞診で顆粒細胞腫と推定診断したが, 症例1では細胞異型からClassIIIとした. 症例2には異型がみられず, ClassIIと判定した. 切除材料の組織学所見:2例ともに細胞質に好酸性の豊富な顆粒がみられ, S-100蛋白陽性で, 顆粒細胞腫と診断した. 症例1では核異型, 核内封入体が認めたが, MIB-1 indexは1. 15と低値であった. 電顕像:2例ともに, 腫瘍細胞の豊富な胞体には電子密度高く内部構造の複雑なlysosome様顆粒が充満し, 粗面小胞体, 糸粒体, Golgi装置も認めた. また, 隣接する細胞突起の複雑な嵌合, 細胞間のtight junction, 断続する基底板様構造などがみられ, 神経原説を支持する所見であった. 症例1では核形不整で, 核の深い切れ込み, 核内細胞質封入体が観察された. まとめ:組織学的にはFanburg-Smithらの診断基準を用いれば, 症例1は一見異型顆粒細胞腫様であるが, MIB-1 indexは低値で良性と判定した. 顆粒細胞腫の良, 悪性の診断にはMIB-1 indexの検索が必須と考えられる. |
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ISSN: | 1345-4676 |