ガングリオンによる絞扼性肩甲上神経障害

「はじめに」肩甲上神経は腕神経叢の上神経幹近位より分岐し, 肩甲骨外側上縁から肩甲切痕に達し棘上窩で棘上筋に分枝する. その後肩甲棘基部の外側縁を乗り越え棘下筋に達する. ガングリオンによる絞扼性肩甲上神経障害は, これまで症例報告としての論文が多く稀とされていたが, 最近MRIが多用されるようになり報告例は増加している1)2)4). 最近10年間に当科で加療した絞扼性肩甲上神経障害21例のなかで, 肩甲棘部ガングリオンによるものは3例であった. 観血的治療を行い1例に再発を認めたため, 手術手技上の留意点を中心に検討し報告する. 症例(表1-a, b) 症例は30歳, 40歳, 42歳の男性...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 652 - 654
Main Authors 前田芳郎, 井手淳二, 山鹿眞紀夫, 北村歳男, 前田智, 高木克公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」肩甲上神経は腕神経叢の上神経幹近位より分岐し, 肩甲骨外側上縁から肩甲切痕に達し棘上窩で棘上筋に分枝する. その後肩甲棘基部の外側縁を乗り越え棘下筋に達する. ガングリオンによる絞扼性肩甲上神経障害は, これまで症例報告としての論文が多く稀とされていたが, 最近MRIが多用されるようになり報告例は増加している1)2)4). 最近10年間に当科で加療した絞扼性肩甲上神経障害21例のなかで, 肩甲棘部ガングリオンによるものは3例であった. 観血的治療を行い1例に再発を認めたため, 手術手技上の留意点を中心に検討し報告する. 症例(表1-a, b) 症例は30歳, 40歳, 42歳の男性であり, 患側はいずれも右(利き手)側であった. 罹病期間は3カ月~1年であった. 3例とも職業上, 上肢を酷使する肉体労働に従事していた. 症例2は10年間のバレーボール歴があった. 3例とも肩後面の疼痛で発症し, 次第に脱力挙上困難を呈し, 就労に支障を生じていた. 全例棘下筋萎縮を認め, 肩外旋筋力は3レベルであった. 筋電図検査にて3例とも棘下筋単独麻痺であることが確認された. 画像診断は, 症例2と3に施行した. 術中確認された腫瘤茎の起始は, 症例2は関節上後方で, 症例3が肩関節上前方であった. 術後経過期間は9カ月から10年であった. 症例1に再発を認めた.
ISSN:0037-1033