当院における冷式抗体と輸血用血液の選択
適合試験における冷式抗体の取り扱いについては未だ施設間の格差が目立つようである. そこで当院における冷式抗体と輸血用血液の選択について最近の統計をも踏まえて報告する. 当輸血部における抗体スクリーニングは, 生理食塩液法, ブロメリン法(Bro法), 間接抗グロブリン試験(IAT)の組み合わせで行われている. 95年1月から96年5月までの18ヵ月間における抗体スクリーニング実施延総件数は18,622件で, 抗体陽性件数は613件(3.3%)であり, 患者延総数は約12,420例で, 抗体陽性者数は307例(2.5%)であった. 抗体陽性件数の内訳は通常冷式抗体と呼ばれる抗P_1 , 抗Le^...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 643 - 644 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.08.1997
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
Cover
Summary: | 適合試験における冷式抗体の取り扱いについては未だ施設間の格差が目立つようである. そこで当院における冷式抗体と輸血用血液の選択について最近の統計をも踏まえて報告する. 当輸血部における抗体スクリーニングは, 生理食塩液法, ブロメリン法(Bro法), 間接抗グロブリン試験(IAT)の組み合わせで行われている. 95年1月から96年5月までの18ヵ月間における抗体スクリーニング実施延総件数は18,622件で, 抗体陽性件数は613件(3.3%)であり, 患者延総数は約12,420例で, 抗体陽性者数は307例(2.5%)であった. 抗体陽性件数の内訳は通常冷式抗体と呼ばれる抗P_1 , 抗Le^a , 抗Le^b , 抗M抗体が264件, Rh抗体及びIATで検出される抗体(Kell, S, Kidd, Duffy, Diego)が138件であった. 前者264件中で適合血を必要とした患者は51件(19.3%)で, そのうち38件はIAT陽性で適合血を準備したが, 残り13件はIAT陰性だが, Brc法で37℃加温後も凝集が残った症例である. 以前は冷式抗体を含む全ての抗体に対して適合血を選択していたが88年以降は37℃で反応性のない抗P_1 , 抗M, 抗N抗体は無視して供給することにした. 更に90年10月よりLewis抗体も無視し, またIATにて同定された抗P_1 , 抗M, 抗N, 抗Lewis抗体でも, 抗IcG陰性であれば無視して供給することにした. 96年6月からは抗体を無視して供給する際の輸血用血液の因子型検査を廃止した. 冷式抗体を無視して血液を供給して以後, 臨床からの副作用報告, 抗体価の上昇などの症例もなく, 臨床的には問題がないと考えられる. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |