股関節外転筋CT像と股関節機能評価との関連性について
【目的】 股関節外転筋の生体内における状態を知り得ることは, 病態把握や治療面で大いに有用であり, リハビリテーションにおける意義は大きい. われわれは1987年, 骨盤部CT像に注目し検討した結果, きわめて有意な情報提供の可能性を見出し, 臨床応用にも供している. 今回はこれと臨床症状との関連性を追求した. 【対象ならびに方法】 片側変股症の未手術症例30例, 手術症例8例, 健常対照者8例の骨盤部CT像につき, 特に中臀筋を中心に関心領域法にてその面積およびCT値を測定し, 同一画面上での健側との比を求めた. これと股関節機能評価点数との関連度につき検討した. 【結果】 1)健常者では骨...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 12; p. 1015 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.12.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】 股関節外転筋の生体内における状態を知り得ることは, 病態把握や治療面で大いに有用であり, リハビリテーションにおける意義は大きい. われわれは1987年, 骨盤部CT像に注目し検討した結果, きわめて有意な情報提供の可能性を見出し, 臨床応用にも供している. 今回はこれと臨床症状との関連性を追求した. 【対象ならびに方法】 片側変股症の未手術症例30例, 手術症例8例, 健常対照者8例の骨盤部CT像につき, 特に中臀筋を中心に関心領域法にてその面積およびCT値を測定し, 同一画面上での健側との比を求めた. これと股関節機能評価点数との関連度につき検討した. 【結果】 1)健常者では骨盤水平位での臀筋は左右ほぼ同形で, 断面積およびCT値の左右比は約1.0となる. 2)片側変股症例の患側では, 大中小臀筋いずれの断面積も健側に比して縮小し, CT値も減少し, 筋萎縮状態を呈し, その程度はそれぞれ筋の量的, 質的変化を意味している. 3)面積比, CT値比両者間にも関連性が大きく, 量・質相伴った筋萎縮の病態を理解し得る. 4)両比のいずれも, その大小は股評価点数の大小と相関する. 5)follow-up症例では, 術前に比し, THR術後に症状の改善, 股評価点数の増大につれて, 断面積増加およびCT値上昇を認め, 患側/健側比も増大し, 筋萎縮の改善がみられ, そのリハビリテーション効果を認めた. 【結論】 股関節外転筋CT像は画像的にも, 数量的にも, 股関節機能の評価に有用性が高く, 臨床的に病勢およびその推移の理解に大いに寄与し得る. <質疑応答> 鳥田洋一(秋田大):1)CTの測定条件, Window width, levelは同一にしているのですか. 2)何度計測して平均値をとっているのですか. 蟹江良一:1)ROI法をとりマウスやトラックボールで関心領域を取り囲む現在の機器では, 形状の複雑なものにはそれだけ困難となるので, 技術的に習熟することが大切である. 私はすべて自分で測定している. 2)CT値は全領域内の平均値である. ポイントCT値は不適当であり, 注意を要する. 蟹江良一:1)撮像条件はあらかじめ取り決めておくが, たとえば術前, 後の比較の場合などでは, 計測時に前回記録されている画像のウインド幅などと同じに変換すればよい. 2)輪郭の不鮮明な場合は, 何度も測定し直して平均値をとることもいいであろうし, またはそれよりすぐ上や下の画像で計測し補正するのもいいと考える. |
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ISSN: | 0034-351X |