COVID-19が否定できない院外CPAに対して感染防御を施して体外循環式心肺蘇生法 (ECPR) を施行した1例
《Abstract》 症例は70歳男性. 2020年7月に入所中の施設で突然倒れ心肺停止(cardiopulmonary arrest; CPA)となり, 施設看護師による心肺蘇生(cardio pulmonary resuscitation; CPR)が開始され救急要請となった. 救急隊接触時に心室細動(ventricular fibrillation; VF)を認め, 電気的除細動に難治性でありCPRを継続して当院搬送となった. 以前までは, 体外循環式心肺蘇生(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation; ECPR)の適応と判断して, 血管造...
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Published in | 心臓 Vol. 53; no. 8; pp. 878 - 883 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.08.2021
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Summary: | 《Abstract》 症例は70歳男性. 2020年7月に入所中の施設で突然倒れ心肺停止(cardiopulmonary arrest; CPA)となり, 施設看護師による心肺蘇生(cardio pulmonary resuscitation; CPR)が開始され救急要請となった. 救急隊接触時に心室細動(ventricular fibrillation; VF)を認め, 電気的除細動に難治性でありCPRを継続して当院搬送となった. 以前までは, 体外循環式心肺蘇生(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation; ECPR)の適応と判断して, 血管造影室に直接搬入し経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary system; PCPS)を導入する症例であった. しかし新型コロナウイルス感染症(Coronavirus Disease 2019; COVID-19)が拡大している現在では, 救急搬送された患者の中に予期せぬCOVID-19患者が紛れ込む可能性を想定する必要がある. 特に院外CPA患者は上気道症状やCOVID-19患者との接触歴を確認できない状況で, 用手換気や胸骨圧迫, 気管挿管といったエアロゾルが発生する危険性が高い蘇生処置を行う必要があり, 全例COVID-19疑い患者として診療している. 本症例は病院到着時点で自己心拍再開なく, 十分な感染防御の上でECPRを実施し, 迅速にPCPSを導入することができた. 切迫した現場で適切な感染対策を行うために, 当院では新たなプロトコルを作成し, 予行演習を繰り返し行うことでCOVID-19流行期でも今までと遜色のないECPRを目指している. 医療従事者のウイルス曝露を回避し, かつ患者の救命のために高度な医療を提供するための当院の取り組みを症例を通して報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |